迫川尚子写真展−「新宿ダンボール村」、5・31まで
新宿西口反戦意思表示をはじめるまでの間にすこし時間があったので、迫川さんの写真展を見に行った。
東口の紀伊国屋書店の4Fでやっている。
迫川さんはあの有名なベルクの副店長。彼女が1996−1998年の間に撮った写真である。
今の新宿しか知らない人には想像ができないだろうが、岡本太郎の”新宿の眼”あたりから新宿住友ビルあたりまでの地下通路にはホームレスの人たちがダンボールで暮らしていた。
無暗に豪華なお城のような都庁のおひざ元にくりひろげられる光景はまさに日本の福祉レベルの貧困さと弱者に対する無政策を象徴するものであった。
毎日、都庁に通勤する役人たちは苦々しく眺めていたのかもしれないし、西口のホテルに滞在する外国人観光客はなぜホームレスの人たちのシェルターがないのかと不審に思っていたことだろう。
そして、最終的に、東京都がやったことはホームレスの人たちの強制排除である。目の前から見えなくすることである。人の目に触れないようにする事である。
なぜホームレスにならざるを得ないのか、という根本の原因にはメスをいれずに。
そして、公共の場にはあらゆる方法でホームレスの人たちが身体を横にできないようにした。 必要もないオブジェをつくり、花壇を作り、凹みにはチェーンをはり、公園のベンチにはわざわざ肘かけをつけて、とにかく横になって寝れないようにした。必要とあれば、無意味な整備工事をした。
ホームレスの人たちは減るどころかどんどん増えている。 貧困層はどんどんふえている。ただ見えなくされているだけ。 まるで存在しないかのように・・・。
この写真展では当時の状況がよくわかる。
会場でじっと感想をノートに書きでこんでいる若者がいた。本屋のにぎわいとは対照的に写真展会場には3人程しかいなかったが、現代の分断された状況が象徴されているのかのようである。


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