頼んでいた”地下広場”の本が届いた
野方に良心的な本屋さんがある。 はた書房という。 ここで大木さんが編まれた”1969新宿西口地下広場”を注文していた。 入ったと連絡を受けていたので昨日のドラムデモの帰りにとってきた。
地元に良い本屋さんが残ってほしいという思いから、amazonで買えば楽なのだが使わないことにしている。、
いろいろな方が寄稿している。うなづけるもの、首をかしげるものなぞさまざまであるが、同時代に生きたものとして感慨深い。
この本の素晴らしいところは、故大内田監督の地下広場の映画のDVDがついていること、文章と映像があいまって1+1が3にも4にもなっているのだ。 ぜひ文章とDVDの間をいききして、追体験してほしい。
DVDの見どころは地下広場の各所でくりひろげられる議論だ。学生とサラリーマン、若者とオジサン、みな我慢強く相手の主張に耳をかたむけ、そして自分の意見を主張している。
なかなか今のネット空間ではみることのできない状況である。
私事であるが、1969年は浪人中であった。 お茶の水の予備校に通っていたが、この西口地下広場にも何度か通い、座り込み、歌も歌った。 新宿中央郵便局への自動読み取り機導入阻止闘争の混乱の日にもあの場にいた。 一方で神田駿河台下の神田カルチェラタンでの学生と機動隊の対峙もまのあたりにしている。
よくもわるくもあの時に社会問題に目が向かった。 その時以来、胸のなかにしまわれていた思いは2003年のイラク開戦のときに表に出た。 イラク空爆の前日、新宿西口地下広場に向かい、一人で”NO WAR!”のプラカードを掲げた。 大木さん達がすでに別の日にスタンディングされていることは知っていた。でも、あす戦争がはじまるかもしれないという前の日に何かしたいという思いはとまらなかった。 一人でもやろう。そう思った。
タクシー待ちの行列の横のコインロッカーの前で30分もうろうろしていた。 勇気がでなかったのである。
30分ほどして、えいやっとプラカードを出した。 だしてしまえばもうそれでふっきれた。
しばらくしてガードマンが2人やってきた。 戦争に反対だということを伝え、グループではなく一人で来たというと、それ以上なにも云わなかった。 彼らも戦争はいやだという思いをもっていたのであろう。
この時からもう11年。 世の中が良い方向に向かっているという実感は残念ながらない。
でも先輩に教えていただいた言葉を胸に秘めてなんとか継続している。
それは
”
頑張らなくてもよい、相手より1秒多く続けるのだ。それだけでいい”。

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