先日の「感性価値創造シンポジウム」で うかがったお話の中で心に残った言葉を御紹介しますね。
「ハレが無くなったから 伝統工芸が廃れて行った。」
今日は 「ハレとケ」のこと。
若い方がその言葉をご存じないといけないので ちょっと説明。
ハレは 晴れ。でも,お天気では有りません。
華やかなとか 正式のと言うような意味でしょうか?
晴れ着・・・・・そんな言葉に残っていますね。
一方「ケ」は「褻」と言う漢字だそうですが 「普段の」と言う意味です。
昔は ちょっとお出かけ、例えば大阪なら 北や南にちょっと遊びに行く・・・・・というのでも、普段ではない特別な事でしたから 「晴れ着」と言うほどではないにしても おめかし(おしゃれの事)して出かけたものです。
お正月など たいていの人は着物を着ていて あるいは晴れ着を着ていて
初詣に行くと 日本髪を結った人などもいらしてて お正月気分が盛り上がったものでした。
そして、お正月や法事など 親戚が集まる行事も それぞれの家で行われていました。
そんな時のお食事なども 家で作って もてなすので 女性陣は大変!
でも 一方で そんな時のためのお皿やお椀などの食器や 花器や掛け軸など
おもてなしのためのものが いくつか大切に保管され 代々使われていたのでしょうね。
そんな時に着るのが「晴れ着」です。
それらが伝統工芸品だということですね。
長いお話しになりました。でもそういう側面があるかもしれません。
日本には 日本の行事が有り伝統産業がそれらを支えて来ていたんですね。
今は 毎日晴れ着を着ているかのような生活です。
そして「行事」は 「イベント」となり お正月よりクリスマスに力が入り
節分より バレンタインデーの方が華やかで
家族の行事より カップルのイベントに力点が置かれ それらが商業に巻き込まれていますね。
「ハレとケ」というメリハリは また 私たちを強くしていたとも思います。
「ハレ」に臨むとき 人はちょっと気合いを入れて 背筋を伸ばして
より良く有ろう・より美しく有ろうとしたものだと思うのです。
その「姿勢を正す」気持ちが 私たちを凛々しくさせていたように思います。
「ハレとケ」と言う感覚をなくすと 生き方も変わりますね。
伝統産業にまで それが及んでいたのですね。
日本の四季とその中にある伝統的な行事を 私もまたあまり知りませんが
「ハレとケ」のリズムを取り戻し、伝統的な行事の中に有った日本人の心について思いを寄せてみるのは 良い事じゃないかしら?
なんかね、そんな事を取り戻そうとする行為の中に 自分を明確にし強くする要素が有るような気がしているんですよ。
今年はちょっと 家族での行事を大切にしてみましょうか?
そして、そんな時にでも ハレの場として ちょっとおめかししてみましょうか?
伝統工芸品を一つだけでも手に入れて そんな日に使って それらの良さを感じてみましょうか?

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