私の好きな歌手に ヘレン・レディと言う人が居ます。
彼女のあるアルバムのタイトルが「長いつらい登り道」。
この歌をいつも聴いていたというCMディレクターがいました。
彼の名は 杉山登志。
彼の事をこんな風に紹介している文章にあいました。
「1960年代から70年代にかけて、日本のテレビCMの創成期を切り拓いた一人のCMディレクターがいた―――杉山登志。彼の作り上げるCMは、そのどれもが単なる商品広告以上のものとして視聴者の記憶に残るものだった。
それまで紙芝居のようだった日本のテレビCMに革命を起こした」
若い方にこれじゃあ、分かりませんね。
資生堂化粧品の宣伝など まだまだ若かった私には 衝撃的でした。
本当にワクワクしましたよ!
CMの世界は 私たちの憧れでした。
クリエイティブだったし CMが生き生きしていて、それは新しい時代を見せてくれるものでしたからね。
彼の作品は次々 大きな賞をもらいます。
私は 「11PM」という大人の番組で 彼が登場しているのを見た事が有ります。
お洒落な黒い服に身を包み、確か テンガロンハットのようなものを被っていました。
酷く落ち着かない雰囲気の人で 機嫌が悪いように見えました。
いらついているみたい。
テレビに出ていてそんなだったので、私にはいい印象は有りませんでした。
その彼が 後日 37歳で自殺したのを知りました。
有名な言葉を残して。
「 リッチでないのに リッチな世界などわかりません
ハッピーでないのに ハッピーな世界などえがけません
夢がないのに 夢をうることなどは……とても 嘘をついてもばれるものです 」
傍から見ていると どんなに華やかで幸せそうに思えても 人の心は分からないものなのですね。
彼の自殺を知って以来 ずっと 心に引っ掛かっています。
特に 私の好きなこのアルバムが彼の愛聴のアルバムだったと知ってから特に。
11PMの時の様子を思い出しても 彼はきっととてもつらい思いをしていて
居ても立っても居られないくらいだったのだろうと 今になって推察します。
苦しかったのでしょう。
でもね、「長くつらい登り道」の歌詞は こんななのですよ。
「それは 長く 辛い旅だったでしょう。
物事が上手く行かない時は なおさら長く淋しい夜だったでしょう。
でも 全てのものには 幸せな時が訪れるもの
・・・・・・・・
・・・・・・・
もう夢を描いても良いの。
答えて。
お陽様が見えますか?
そして、それが心の奥底にも有ると 感じられますか?
歌のように」
彼は それが見えなかったのかも知れません。
探しても探しても ないと感じたのかもしれません。
人生は つらいもの。
苦しい事も沢山有ります。
その中にも キラキラ光る素敵な出来事も多々有って
私たちの人生もここまで来ると それらの色々な出来事に寄って、
きっとオパールのように様々な色にきらきらと輝いている事だと思います。
それを歌って行きたい。
そう思います。
もしも、皆さんのお心の奥の方に有るそんな出来事に 一曲でも届く事が出来たら 最高に嬉しいです。
歌というものに乗せて 私たちが 出会う瞬間だと思っています。
ライブが続きます。
皆様のお越しを お待ちしています。

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