友人から突然お誘いがあり コンサートに行きました。
オペラ「蝶々夫人」の演奏会形式のハイライトという物です。
オペラ好きと言っても「蝶々夫人」は 聞いた事が殆どありません。
着物の着方は変だし お部屋が和なのか中華なのかはたまた何なのか分からないインテリアだったりして それが気になって音楽に集中できないという体験をして以来、一切聞いても見てもいませんでした。
行って良かったんですよぉ〜。
まず、演奏会形式、つまり オーケストラが舞台の上で演奏し その前で多少の演技を交えて歌うという形なので インテリアを見ずに済む。
音楽に集中できると言う事ですね。
そして、時間前に入ったら 指揮者の藤岡幸夫さんが 熱っぽく「蝶々夫人」について 語っておられました。これも良かった!
このオペラがどんなに美しいか どんなに素晴らしいかを熱っぽく語って下さったので、殆ど知らなかったこのオペラの良さを 少し知る事になりました。
歌った人は4人。
蝶々夫人・・・佐藤康子 ピンカートン・・・笛田博昭
スズキ・・・・児玉祐子 シャープレス・・・米田哲二
特に ピンカートンの笛田さんは 素晴らしい歌声で、来ている全ての人を魅了していました。
最初の一声で ビックリです! 日本人じゃないって思いましたもの。
声が 強い。 Lyricoなのに 強い。
お若いので声量も豊かなのですが それに無理がないのです。
きっと世界の舞台で 大活躍なさる事になるでしょうね。
本当に驚きましたよ。
そして、佐藤さんは イタリアでも蝶々夫人を200回以上歌われたとか。
それなりのお年でしょうが たったの15歳でピンカートンと出会って 短い生涯を終える事になった蝶々さんを いじらしく演じていらっしゃいました。身体に入っている感じ。
蝶々さんの いじらしい事!
ピンカートンと知り合い 恋に落ち 結婚のまねごと(蝶々さんはそう思っていませんが・・・)をして 子供までできるのです。
でも 彼はアメリカ人で アメリカに帰ってしまいます。
彼女は 彼の愛を信じています。
きっといつかは 彼は私のところに来てくれる!!
そう思って心から彼を信じて待っています。
それがいじらしい。
周りの人が何と言おうと 彼女は彼を信じて待っています。
でも 残念ながら 彼は婦人を伴って日本に戻り、彼女の大切な 彼との間にできた息子まで奪ってしまうのです。
指揮者の藤岡さんがおっしゃっていました。
自分の不幸を嘆く事はあっても 誰も 誰かを悪く言ったり恨みに思ったりしていない そんな美しいオペラですって。
それに気付いて そのようにおっしゃって下さった藤岡さんに 大感謝です。
クラシックって 何もかも決められているように思えますが
その中でも いかに感じ いかに解釈し いかに演じるかは その方に掛かっています。
そう どのようにでも演じる事はできると思います。
その時に 「誰もが 誰を恨む事もない 美しいオペラ」とおっしゃった藤岡さんの心には そのような物からできる限り自由でいたいという思いがお有りなのだと感じました。
良い出会いでした。
今日はオーケストラも歌った方々も指揮者も 全ての人が素敵に思えました。皆さんが 今日のコンサートを心から楽しんでいらしたように見えました。
佐藤さんは 最後にこうおっしゃいました。
「このような大きな舞台に立つのは 今日が最後になると思います」と。
私達は「え〜〜〜〜!!、そんなあ」と言いました。
でも、そうですよね、オペラは大抵 出ずっぱりで身体にもきついですもんね。
そうおっしゃる佐藤さんの全身から 今まで歌って来られた歴史が感じられ どのように生きて来られたか どのような方かが見えてきました。
私は この方を「Lady」だと感じました。

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