若いソムリエが 一年のイタリア修行を終えて戻ってきました。
久々に会う彼は、明るくしっかり大きくなった印象です。
ソムリエとは言え、彼が本当にしたいのはお客様へのサービスです。
彼には理想のサービスマンの姿が見えています。
イタリアでの色々な体験を聞きました。
中々、苦労も多かったようです。
「最初の4ヶ月は 本当に大変だった。言葉も分からないし。
叱られても何を叱られているのかすら分かりませんでした。」
それを乗り越えて、「帰ってきたくないくらい楽しかった」と言うのです。
日本との国民性の違いに付いても 色々聞きました。
あちらでは 経済も破綻したことがあり、給与は本当に安いと言う事。
それでも、楽しんで生活するのがとても上手なのだそうです。
まず、何時間も掛けてお食事をする。
それはゆっくり食べると言う事だと思っていたら、「食べるのは凄く早いんです。でも、次の食事が出るまで 時間が掛かってもクレームが出ることがない。 それは おしゃべりの時間として楽しんでいて、それで食事時間が長いんです。」
お食事がすぐに出ないとクレームになりがちな日本とは大違いですね。
また、パーティや結婚式では 誰も彼もが皆、踊るのだそうです。
それがかっこ良くて 彼は日本でまずダンスを習いたい等というのです。
ちょっと、イタリア人になって来た?
「や〜、無理ですねえ。女性にあんな風に声かけられない。
だから日本人男性は本当に人気が無いです。」
あらら・・・・・・。
そんなにイタリア好きになった彼が日本に帰って来て 感動したのが「おかんのカレー」だったと言っていました。
「別に、タマネギを炒めたりとかもしないし、コクがあるんでもないし、でも、
美味しいんです。」と首を縦に振りながら力説。
ああ、そうかも知れない。
そう思いました。
プロには 素人が太刀打ちできない丁寧さと知恵と細心の注意と技術があります。だから、本当に美味しい。
けれど、おかんのは 特別!
私はそれを「彼のおかんのだから」とも思わないのです。
もちろんその要素は大きい。
プロ中のプロは本当に凄いです。
どうにもこうにも太刀打ちできない。
でも、素人にはプロにないものがあると思っています。
何だろう?
ワイルドな美味しさと言うか、もう少し良い表現をしたらヴィヴィッドな美味しさと言うか。
最近の若い女性は やけに痩せていて、お化粧もきっちりしていて皆がモデルみたいです。
でも、それは良いこと?
私達 皆がプロの味を追求したり、モデルのようになる必要はないと思う。
それより、その家庭にしかない家族皆が大好きな味とか 私にしかない個性とか、何かそのようなものにもっと 目を向けてもいいかもしれませんね。
「おかんのカレー」
二つ星レストランで働いていた彼が 感動したそのカレー。
一体どんなお味だったやら?
そこに彼は何を感じたのかしら?
帰ってきたくないくらいだったのに、そこに何を感じたのかしら?
答えはないけれど、何だか とっても楽しい話を聞いたような気がしました。
私の場合、子供たちが一番に思い出すのは 野菜スープじゃないかと思うけれど・・・・・、さて、どう思っているのかなあ〜。
違うこと、言うんだろうな〜。
我が家の味というと、何を思う???って聞いてみたくなりました。
さて、一流のサービスマンを目指していた彼。
個室に入って皆で食事をしていて、次の注文をしたいなあ・・・・と言うそんなタイミングで 良くお部屋に注文を聞きに来てくれたり、ワインを注ぎに来てくれていました。
「音を聞いていたら分かるんです。
音が早くなったり、椅子を引く音がしたり」
成る程ね。
お料理を他の席に持って行ったり、色々用意したり 話をしたりしながらも、いつも気持ちを寄せてくれていたのですね。
耳をそばだてながら。
あなたがどんどん大きくなって行かれるのを 期待していますね!!

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