ださいタイトル!
でも良い映画でした。
深い感動がひたひたと私の心に広がってきました。
主な登場人物は3人だけ。
一人は もう50年もパリに住んでいるエストニア人の老婦人フリーダ。
きっとご主人の遺産なのでしょう、大金持ちなのです。
でも、家族も友達も居ない。ひねっくれでわがままで意地悪だから、メイドも居着きません。
そこに雇われたのが アンヌ。
同じエストニア人でフランス語が出来ると言う事と、プロとして働いていた経験、一人で母親を看取った経験に期待されてパリにやってくるのです。
アンヌの若い頃からの憧れのパリ。
でも、フリーダの暴力的とも言えるわがままで 一所懸命勤めているのにアンヌの心は傷つけられて行きます。
もう一人の登場人物は アンヌの雇い人ステファン。
フリーダの息子のように見えましたが、実は他人。
昔は 恋人同士でカフェも持たせてもらって、彼もフリーダを放っておけないのです。
でも、本当は フリーダから自由になりたい。
フリーダの心は微妙です。
家政婦が来るという事は ステファンが安心して来なくなるという不安が有ります。
いきおい、家政婦には意地悪になってしまいます。
たいした事件も起こらないのですが、そんなバラバラな3人が それぞれ自分に向き合う事になっていきます。
そして・・・・・・・・・。
パリに居るエストニア人達という設定。
男と女の問題。
老いという事。死の迎え方。
愛するという事。
家族とは何かという事。
そんな事を そんな問題としてではなく、この3人の心模様から見つめています。
その意地悪なフリーダを85歳のジャンヌ・モローが好演しています。
とにかく、美しい。
凛としています。
しわだらけの顔が 生き生きと見えます。
観察するに 目の光だけは全然衰えていないのです。
昔のまま。いいえ、もっと強い光を放っているようにさえ見えます。
パンフレットのインタビューで彼女はこう言っています。
「私が生き生きしているのは、なにかを創造したいという思いがあるからです。
差し出された人生を、私はすべて贈りものとしてありがたく受け取ってきました。
そう、贈りものと言っていいでしょうね。私には《才能》と呼べるようなものなんてなかったのですから。」
素敵な言葉でしょう?
「差し出された人生を、私はすべて贈りものとしてありがたく受け取る」
これだ!と思うのです。
この、私の人生は私のものではなく 贈られたものと感じて、有り難く生きる事。
それが幸せの始まりのような気がします。
私も彼女のように、強い光を持っているあのような目をして、シワだらけであろうと何であろうと、凛として生きて行きたいなあと思います。
大阪では、昨日上映が始まったばかりです。
是非是非、見てください。
アンヌ役のエストニア人女優 ライネ・マギがまた、素晴らしい!!
心を打ちます。
ジャンヌ・モローに「彼女はまさしく発見です」と言わせたのですから。
人生の最後になって 私達は何を得たいのでしょうか?
フリーダが 教えてくれそうです。

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