大阪の事をずっと考えています。
もう本当に長く 大阪は元気がない。
その理由は?
きっと、大阪のどの時代を過ごしたかによって 考え方は違うのでしょう。
日本テレマン協会の代表
中野順哉さんとお話しする機会を得て、ますます 大阪について考え込んだのです。
テレマン協会は色々な形で社会とつながる活動もしています。
その一つとして、今後は更に「大阪文化」を国際ブランドとして発信して行くプロジェクトの構想についての講演会でそのお話に感動したのです。
この書き方では中身が分かりにくいですね。
大阪には 大阪独特の文化が有ったのに、今は「大阪のおばちゃん」と「粉もん文化」ばかりが有名になっている気がして私は気に入らないのです。
じゃあ,大阪の文化って何?
それをキチンと 伝えられる言葉にしておかなくては行けませんね。
それで中野さんのお話をもっとお聞きしたくなったのです。
色々な要素が有ります。
以下に 中野さんの貴重なお話から頂いたものと、私が日頃から感じているものをランダムに書いておきます。
*小のなかに高度なディテールを求める傾向が有る
(例)文楽の三味線は 言葉の代わりに情景や状況や心理を表す事ができる。
*もったいないの精神が生きていて、食事の仕方にもそれが現れていた
(例)船場汁
*大阪城の改築や川や運河に掛かる多くの橋は 庶民の力で建てられた。
*川と運河で 文化と物資を運んできて、にぎわっていた歴史が有る
(例)都との行き来は 一番早い交通手段として船が使われていた
*東洋のベニスとして 中之島に美しい景観を作って来た
(例)昔の中之島は 川に向かって当時の最先端の美しい建物が有った
*道頓堀には中座 朝日座 松竹座・・・・・等沢山の劇場が有り、大人の文化の遊びの有る町だった
*上記のように大阪人は「大阪の文化」を町づくりと共に作り上げて来た
さて、そんな大阪を変えて来てしまった方向性を 私は悲しく思うのです。
もうみんな忘れているかしら?
高度成長期、大阪は「東京に追いつき,追い越せ」と言っていました。
この時点で既に 大阪は大阪のアイデンティティーを失っていたのですね。
自立した考え方と文化を失い 競争の世界に入り込んでしまいました。
そして、勝つはずのない競争で負けて 大阪は今自信を失っていると感じています。
時代が変わると町が変わりますね。
例えば川と運河の事。
交通の手段が船から車に変わり、川に向いていた建物は道路側を向くようになりました。
だから、遊覧の船に乗ったらがっかりです。
ゴミ箱やクーラーの室外機ばかりが見えて・・・・・。
昔の文化を取り戻そうと船を出してみても,もう町並みもすっかり変わり、船を出すという単発の事だけではどうにもならなくなっています。
川を否定し、大きな高速道路の橋桁で瀕死の状態。
運河は暗きょになってしまいました。
今、行政は中之島の辺りを綺麗にしようとしているようですが、それらのゴミ箱や室外機が見えないように壁を作ると言う方法のようです。
なんだか、「薄っぺらな手当」のように感じます。
交通や町が変わるのは仕方のない事ですが、その折に 何か 間違ってずれていってしまった気がします。
その間に 大阪としての大切なものを失って来てしまったような気がするのです。
さて、今,大阪にビジョンもアイデンティティもないと感じている私ですが、では何をもってアイデンティテイィとして行くのかという所は よく考えないと行けないと思っています。
時代は変わっていっています。
人々の生活の仕方が変わったのです。
無理矢理 昔の生活に戻す事ができないのですから、「これからの大阪」と言うテーマを考えるに「大阪ならではの文化」のどの部分を大切にし、どの部分を変えていくかを 考えないと行けません。
昔 法然院の貫主様が京都駅の前を開発するのでは無く「森にしよう」とおっしゃっていました。
森は 命の湧く所であり命の集まる所です。
中之島を そんな森の有るにしたいなあ。
森には 虫が居ます。
虫を求めて鳥が来ます。
森の恵みで生きられる小動物も集まります。
それらが集まる所に,人は集まってきます。
水か有り,森が有り、命の集まる所に,人は集まります。
まず 中之島に森が欲しいなあ。
そして、単発の事をするんじゃなく、色々な「もの」や「事」の関わりの中で生まれる風土や文化の魅力で人が集まるようになったらいいなあ。
グランフロントや阿倍野ハルカスに人が集まっているというニュースが有ります。
それは悪い事では有りません。
でも、それだけではお商売が成り立つ所が移動したに過ぎなく、そのために昔あった古い商売の地は置き去られたり、つぶされたりしてしまいました。
それはそこで育まれた文化も人の関係もすべてをなくす事です。
新しい建物に人は集まります。
でもそれだけでは、新しい文化が生まれる感触は有りません。
この後,大阪はどうなるのでしょうか?
仕組まれた所で 仕組まれたものを買ったり,そこで楽しもうとするよりもっと 大阪の根底をしっかりさせるような事をしたい。
はてさて、えらく大きな事を 考え始めたものです。
それ位,私は 大阪が大好きなのです。

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