オゾネミュージックスクールの伊藤君子教室の発表会が終わりました。
今回私が選んだ二曲のうちの一曲は「Left Alone」です。
ビリー・ホリディが歌詞を書いて、録音する事も無く亡くなってしまった。
だから、彼女の歌が聴けない彼女の曲。
マル・ウォルドロンの悲痛なピアノとジャッキー・マクリーンの重い演奏で有名ですね。
それが有名で 余り歌っているのを聞く事が有りません。
でも、やはり、彼女は歌詞を書いたのですから、私はそれを歌いたいと思うのです。
私は、若い頃、ジャズも知らないのにラジオから流れて来たビリー・ホリディの歌に感動し、しばらくはまっちゃった事が有ります。
彼女のしゃがれてしまった声、歌い方に 彼女の魂がこもっているように感じていました。
生まれも育ちもその後も、辛い人生であった彼女と彼女の歌は 一緒に語られますね。
だから、この歌も・・・と思いがちです。
歌詞を読み解く中で 何度も何度も迷いました。
「どこに、私の心を満たしてくれる愛が有るのでしょう?
どこに分かれずに済む人がいるのかしら?
男の人達は 寄って来ては私を傷つけ去って行く。
私にとって家と呼べる場所はないわ。
街をさまようばかり。
哀れよね。一人っきりで残されてしまって。
人は「探せば見つかる」って言うけれど、今まで一度もそんな事は無かった。
死ぬまでには巡り会うのかしら?」
そんな歌詞です。
彼女はもう絶望していたのかなあ?
それともやっぱり、希望を持っていたのかなあ?
どうなんだろう?????
いつも迷っていました。
でも やっと迷わなくなりました。
自嘲的になり、絶望して、やけっぱちになって・・・・・・。
それでも心の片隅で 求めずにはいられない気持ちが有るからこそ、この歌詞を書いたのだろうと今は思っています。
あんなにたくさんのファンに愛され、沢山のミュージシャンから尊敬されていたのに、彼女は心を許せるただ一人の男性を求めて、いつまでも心を満たす事ができなかったのですね。
人の心の不思議さを思います。
最近の私は この歌を歌う時、そんな彼女の魂が少しでも穏やかになるようにと思って歌います。
共感を持って、代弁者になりたいのです。
歌いながらもっともっと深く理解して、本当に共感し代弁者になれるように まだまだ歌って行きたいと思います。
さてさて、発表会です。
こちらでも大トリでした。
さすがに この曲で発表会を閉める訳に行かないので、楽しい曲を最後にしましたよ。
発表会の楽しさは 沢山の人が出場する事です。
一年間精を出して学び練習して来た成果を プロミュージシャンのサポートを得て皆さんに聞いてもらうのです。
だから、それぞれの個性が歌に表れていて新鮮で楽しいのです。
それに、毎年続けて来て下さっている方々には その成長も見て頂けます。
手も足も震えて冷たくなるような緊張の中、それでも渾身の力で心からの歌を披露します。
その極度の緊張が また成長をもたらしてくれるのです。
人生には色々な出来事が有ります。
もちろん辛い事も、悲しい事や切ない事も。
長く生きてくると 傷だらけの自分を発見しますよね。
そしてその傷は癒えているようでも、奥には未だ残っているものも沢山有ります。
音楽にはそれを又癒す力が有ると思っています。
昨日は雨でしたが、今日は まあ青空の綺麗だこと!
頑張った皆へのご褒美ですね。

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