NHKの「視点・論点」と言う番組で、素晴らしいお話を聞きました。
ここに動画を貼り付けたいのですが、対応していないようなので、どうかNHK+で見てください。
「https://plus.nhk.jp/watch/st/e1_2022011903833?cid=jp-Y5P47Z7YVW」
「尊厳を守り地域に根差す自立支援」です。
釧路社会的企業創造協議会の代表 櫛部武俊さんのお話です。
たったの10分なのに、内容が濃くて、濃くて、何度も戻っては理解しながら見たのです。
素晴らしい活動です。
生活保護の基準が今のままではむしろ自立するのが難しくなっている現実があります。
仕事ができそうなら(食べていける収入がなくても) なかなか生活保護の対象になりにくいようですね。そんなに急には、自立する収入を得るのが難しいので、この方は生活保護に「年金や諸手当や自立までの収入」などを合わせて、なんとか自分で生活できるという、クッションのような中間的就労を作ることをしてこられたそうです。
最初は地域でのボランティア活動などをして、感謝されることで自分の実存を実感する。
例えば、生活保護を受けている方のところにシングルマザーが言って お話を聞くというボランティア。
なかなか話をする機会にも恵まれなかった方から とっても感謝されて、そのシングルマザーは「生まれて初めて人から褒められた」といったそうです。
また無口だったおじさんが、人にバスの乗り方を教えて感謝され、人のことを心配して動くことができ、自己肯定できるようになった。・・・などです。
この方のいらっしゃる釧路市ではこんな「自立支援プログラム」をしているそうです。
人口がどんどん減って、地場産業も衰退していっている。
その自立支援と地場産業の活性化の両方を取り持って、「地場産業の漁網の仕立て」という事業を始めるのです。
なかなか成り手のなかった「漁網の仕立て」をしてくれる人ができる。
漁業を支えてくれる。
一方で、仕立てを習って技術が得られ、成果報酬も得られる。
つまり、地域に支えられている人が 地場産業を支えるという仕組みです。
一方的に「してもらう」のではなく、技術を得て、収入ももらってしかも、自分が地場産業を支える役目を果たしているという誇りも持つことができます。
すごいなあ・・・・・

よく言われる「地域の共生」が とても良い形で行われています。
また、音別町というところでは「秋田フキ」を育てているのだそうです。
昔は1万人ほどだった人口が1600人ほどになってしまっていました。
そこで、「フキ」で音別町を有名にしようという取り組みが始まります。
ここのきれいな水を使って+無農薬で人に優しいフキを育てて、今では遠く九州でも販売しているとか。
年間に40トンものフキを生産できているそうです。
これに従事している人は 離農農家・生活困窮者・高齢者・引きこもり・生活保護受給者・・・・と色々。
その交流もきっと楽しいでしょうね。知らない立場の人の話を聞いたり、自分のことに興味を持ってくれる人も現れたり。
コロナ禍は社会を分断し、住民の繋がりを壊したとおっしゃっていました。
私もそのことが本当に気がかりです、ずっとね。
そして、社会保険の給付対象にもならない、しかも、生活保護ももらえない、使える制度がなく沈み込んでしまう人たちが出てきていると おっしゃっていました。
私、そのことを本当に心配しています。
私がとても貧しかった頃、家賃が払えず 家を追われるのが1番怖かったです。
家がないと途端にたくさんのものを失うからです。
その状況をよくわかっていらしてこの方は、住居は「生活の最低条件」として考え、給付していくべきだと主張していました。
私もそう思います。
いろいろな条件をつけて審査するのに、たくさんの人を雇っているというのがそもそも変なのです。
審査にたくさんの税金が投入されている。
今日は長くなるのでこんなふうに簡単にしか書きませんが。。。
兎にも角にも、この方のように現実をしっかりみて「人が自身の尊厳に誇りを持って自立できる仕組み」を いろいろな形で生み出す必要があると思います。
よくホームレスに 「仕事しないから悪い」というようなことを言う人がいます。
けれど、家がない人を雇う会社はないし、トイレやお風呂もなければ、着替えをし、さっぱりした服装で身嗜みを整えることすらできません。
生活保護も 少し働いしてしまうと、打ち切られて、生活保護をもらっている時よりもずっと困難な生活になってしまうと言うようなことにならないようにしなければなりません。
まず、命を守るのに必要な家、水道などのインフラ。
そして、段階を経ながら自立していけるような多面的で 可能性に満ちたプログラムを生み出す必要もありそうです。
私も同様なことを考えていたこともありますが、頭の中だけ。
この方は実際に 動いて実行し成果を上げていらっしゃいます。
だから濃厚な10分の「視点。論点」でした。
素晴らしい

似たような世代だと思います。
彼は「実存」と言う言葉を使いました。
若い頃、みんながよく使っていた言葉です。
それを、本当に現実の社会の中で、現実的なものとして使っているのを聞いたのは初めてかもしれません。
深い感動に包まれた10分間です。
リンクをクリックして、見て欲しいです。
あるいは、「尊厳を守り地域に根差す自立支援」で検索すれば出てくるかと思います。
よろしくお願いします。

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