今回はサメの生態について幾つかご紹介しましょう。
1,摂餌
一般的に肉食が多いと考えられますが、ま、その通り肉食が多いです、おとなしいと言われるジンベイザメもオキアミや小魚も食べますので広く肉食に属しますね。
こと凶暴な種と考えられている者は外洋棲が殆どです、何故か?それは「
根」が存在せず周りは海水しか無い不毛の地だからです。
「
根」があればそこに棲む生物をターゲットにできますが、外洋はそれが出来ません。エサと遭遇する確率自体が極端に低いので彼等はチャンスを逃さないように習慣づけられています、なので「
食えるかも?」と判断すると猛然と襲いかかります。
第二次大戦中、外洋で撃沈された船から飛び降りたクルーが漂流中に多数サメにやられるといった事件が多発しましたが上記の通りサメには最高のエサ場になってます、この時の恐怖のイメージから「
サメ=怖い・凶暴」という悪評が定着してしまいました。この時「
ヨゴレ」というサメによる被害が多く、こいつはヘタすりゃホホジロより獰猛

なやつで基本的に単独行動ですが、エサを発見すると突然群れをなし、手当たり次第襲いかかるというたちの悪いサメです。
大きな体格でヒレの先端が丸みをおびたのが特徴のヨゴレ
外洋棲に限らず危険な状態に「
狂食状態」と言われるものがあり(正確には「狂乱索餌」といいます)、これは摂餌中もしくは摂餌しようとしてるサメが複数集まると起る状態で、そこにいるサメが全て凶暴化する事で、視界に入る者は何だろうと噛み付く位に凶暴になります。
どういう心理が働いているか分かりませんが「我先に」ということではないでしょうか?サメは視界がモノクロに近く、陰影を優先して判断するので仲間と餌を識別する前に「
とりあえず噛んどけ」ってな感じじゃないでしょうか?
基本的に悪食なサメですが、なんでも食べるわけではありません。水鳥がホホジロザメに丸呑みされて彼は「
ダメ、食えねえよコレ、ペッ!
」と無傷で吐き出された例もあり「
噛んでから判断」することも彼等には重要なようです。
これに注目した学者が「パルダキシンという成分をサメが嫌う」という説を元にサメ撃退法に「サメの嫌がる味」を研究して作ったらしいのですが残念ながらサメの口に入らないと効かないのでハッキリ言って
「噛まれてからじゃ遅せえよ!」です。
2,協力者(仲間?)
写真上段2点はカイアシという寄生虫でサメの皮膚にとりつき皮膚をちょっとずつ食べて生きています。重大なダメージにはならないとしてもサメにとっては
鬱陶しいはず。排泄部や目にまで寄生する場合もあるので可成り邪魔な存在です。
こういった寄生虫を駆除してくれる
掃除屋が多々いますが、代表的な種は映画「シャークテイル」の主人公(主魚公?)の1匹「オスカー(声:ウィル=スミス)」で有名な
ホンソメワケベラですね、こういった掃除屋にクリーニングしてもらうのはサメに限らず重要かつ気持ちがいいのか、クリーニング中はかなりおとなしくなり少々近づこうが逃げたりしません。写真下段はチョウチョウウオに掃除してもらってるハンマーヘッドですがカメラマンがここまで近づいてもジっとしてます。
しかも掃除屋の棲息しているところに
わざわざやってきて掃除してもらうのも珍しくないようです。
3,繁殖
自然界では「弱者ほど子供が多い」という法則があります、沢山子供を産むことで種を存続させる確率を高めるという理屈ですが、サメはやはり強者に属するのか「少数精鋭」で、多く産む種でも100個くらいです。
ですがこの生態から、もし乱獲にあったら即絶滅の危機に落ち入ることは容易に想像できます。
全種の70%が「卵胎生(卵を産み落とすのではなく、胎内で卵から産まれる)」ものです。これの少し違うのが「胎仔」と呼ばれ胎内で卵黄を栄養として育ち後に母親の胎内分泌物を栄養にして出産時には自前でエサを獲れるくらいに成長してから出てきます。
これの極端な例では「
シロワニ」というサメは胎内で子ザメはすでに歯が発達しており、一番生育の早い子供が生育の遅い子供を食べて成長するという
共食い一家です

そのお陰か出産時には子ザメはすでに1mくらいまで成長してます。
「シロワニ」顔に似合わずちょっかい出さない限り危険の少ないおとなしいサメ。でも常に半開きの口で泳いでるので顔はコワイ
え〜これ以上サメの特徴をあげればきりがないので次回からは色んなサメを紹介していきます。

11