今日ほど「完全予約制」という言葉を呪った日は無い。
今日はK大学病院に行く気満々だったので、いつもより早く起き、コーヒーを飲んで、パンを齧った。
すぐにK大学病院に電話を入れた。
「すみません、今日、診てもらいたいんですが...」
「何科ですか?」
「精神科です」
「東病棟ですね。診察券はお持ちですか?」
「それが、無くしてしまって」
「では、お名前と生年月日を教えてください」
と言うので、教えた。
「はい、ありがとうございます。東病棟での受診は、初めてですね?」
「そうです」
「では、精神科と繋ぎますますので、お待ちください」
しばし待った。
「はい、東病棟、精神科です」
「受診を希望してるのですが」
「すみません、精神科はただ今、完全予約制になっておりまして、ご予約を取ってもらわないと受診出来ないんです」
「急患なんです。最後に診てもらっても構わないので、診てもらえませんか?」
「完全予約制なので...」
「急患なんです!」
「でも、予約制ですから...」
「じゃあ、何ですか?救急車でそちらに行けば、診てもらえますか?!」
「いや、そういうわけには...」
「早く診てもらいたいんです!!」
「ですから、予約を取ってもらわないと...」
「じゃあ、いつなら診てもらえるんですか?!」
「一番早くて、今月の17日以降ですね」
眩暈がした。
「じゃあ18日の一番早い時間で」
「では12時ですね」
「言っておきますけど、私、精神障害者3級ですから。もし、18日までに自殺未遂でも起こしたら、あなたの所為ですから。名前教えてください」
「それはちょっと...」
「名前も言えないんですか?幼稚園児だって、自分の名前くらい言えますよ」
「...○○と申します」
「確かに覚えました。18日まで精神が持たなかったら、救急車で行きますので、よろしく」
ガッチャン!!
荒々しく電話を切った。
今日はまだ2日ですよ?!18日まで、どうやって我慢すればいいんですか?!
心臓に鉛玉がずしり...と入った。
重い。重くて取り出せない。
一人、部屋に戻ると、オイラは昨日腕に貼った絆創膏を剥がして、貝印で新しい傷を作り、また新しい絆創膏で塞いだ。
切りながら、
「そうだ、今はほとんどの精神科は「予約制」で、オイラの通ってる病院が稀なだけだったんだ」
と思った。
でも18日まで、自我を保ってるという自信がない。
せっかく今日、無理して仕事休んだのに。
これなら、仕事に出てる方が、まだマシだった。
K大学病院、やっぱり嫌いだ。
「完全予約制」って何ですか?!その言葉だけで急患も診てもらえないんですか?!
オイラはしないけど(とは言い切れないが)、その人が、予約日まで待てずに自殺したらどうするんですか?!
苛々が治まらない。切ったのに。
K大学病院、いつか放火してやる。

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