池のほとりを散歩していたら子供達に呼び止められた。
「カメがおるよぉ〜」・・・。
ん?オレからたかろうとしてないか??
別にいじめている訳でもなさそうだったので
「ほっといたりゃー」と、実にわかりやすい名古屋弁で返事をしておいた。
子供達にしてみたらすばやく動いたり、鳴いたりもしないのですぐに興味は失せたらしく、どこかに行ってしまった。
しばらくの間、少し離れた場所から観察。
子供達が行ってしまったのを確認して首と頭を出す。
歩き出した。
オレは気が短い方なので、見ていると結構イライラする。
方向を示してくれるなら運んでやるのに・・・。
ゆっくり、ゆっくり、池に向かって歩き出した。
ざぼんっ!!
勢いよく水がはねる音がして、波紋が広がる。
しばらくして見えなくなった。
その「歩み」はとてもゆっくりだけれど、確実に前進している。
忘れかけていた事を思い出させてくれたような秋の日。
竜宮城に連れていってほしかったのに・・・。

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