共に歩みを進めた2年間の旅は終焉を迎えました。
選手、監督、スタッフ、サポーターの想いは、小雪舞い散る万博の空に散りました。
元日の国立競技場まで旅を続けたいと、120分を戦いましたが残念ながら夢は叶いませんでした。
日本中が…いや世界中がクリスマスの12月25日。
まだ朝日が昇る前に家を出て、暗い中で始発の電車に飛び乗り、寒波襲来の関西方面へ向かう。
まったくクリスマスとは無関係で、でもそんなレッズなカレンダーが幸せな一日の始まりでした。
第90回天皇杯準々決勝 ガンバ大阪 vs 浦和レッズ
フィンケ監督がピッチに送り出したメンバーは、リーグ戦を戦ってきたメンバーが中心でした。
攻撃陣はエジの1トップに、峻希、ポンテが両脇を固め、柏木を上げてトップ下のポジションに。
萌と共にボランチに起用されたのは堀之内。CBは暢久、坪井、右SBは岡本、左SBは宇賀神でした。
やはり怪我から戻ってきた達也、直輝は、共にベンチで試合開始を迎えました。
どちらが選択したのかは分かりませんが、いつもとは逆のエンドでキックオフ。
小雪がちらつき、強い風もあり、気象条件からガンバがトスに勝って選択したのだと思います。
前半、レッズは吹き荒ぶ強い風に向かって攻めることとなり、ガンバに主導権を握られました。
レッズは全体的に動きに精彩を欠いているような印象でした。
異常な寒さと、強風に向かって攻めるという状況で、肝心なところでのパスミスが目立ちます。
これから攻撃に…というところでミスをしてしまい、攻撃に切り替えることができませんでした。
いろいろな想いが交錯し、特別な試合であるという意識が強すぎたのかもしれませんが、
エンドの選択から、前半から攻勢に出たガンバの作戦に、自分たちのサッカーが出来ませんでした。
逆にガンバはミスに乗じて、ボールを奪う位置が高く、再三レッズのゴールを脅かします。
立ち上がりの5分過ぎ、ルーカス選手→橋本選手のシュートは山岸がなんとかセーブ。
35分にはイ・グノ→安田選手が抜け出し失点を覚悟しましたが、クロスバーを直撃しました。
レッズ守備陣は、遠藤選手、ルーカス選手、イ・グノ選手、橋本選手を捕まえ切れませんでした。
特にルーカス選手にボールが入った後のガンバの攻撃が、レッズにとっては大きな脅威でした。
レッズの攻撃は、峻希が起点になったものが何度かチャンスになりましたが、
チャンスの後にはカウンターを食らうことが多く、終始ガンバのペースで前半を終了しました。
前半はミスも目立ち、自分たちで試合を難しくしていたような印象もあるのですが、
それでもリーグ戦で戦ったどの試合よりも、前半から攻勢に出るガンバに押し込まれた印象でした。
後半に入り、堀之内が右膝を痛め啓太との交代を余儀なくされました。
延長、PKまである天皇杯で、後半早い時間で怪我による交代はレッズにとっては誤算でした。
後半もレッズは相変わらずミスが多く、ガンバのカウンターの脅威に晒されました。
ガンバの先制点は後半27分。レッズが攻撃に出ようとするところを奪われカウンターを食らい、
なんとか暢久がパスカットするもハンドを取られ、FKを遠藤選手に綺麗に決められてしまいました。
先制され、得点を獲らなければ全てが終わってしまうレッズは勝負を仕掛けます。
74分に萌に代えてセルを投入し、ボランチを1枚にし前掛かりに得点を奪う意思を明確にしました。
78分には足が攣りながら走り続けていた峻希に代え達也を投入し、前への圧力を落としません。
ガンバは先制したことで守り切る方に意識が働いたのかもしれませんが、
達也投入からレッズがようやくペースを掴み、ガンバのゴールを脅かすようになりました。
そして…レッズの同点ゴールは達也の怪我と引き換えにもたらされることになりました。
81分、ゴール前でボールを受けた達也は、ガンバの選手の激しいチャージを食らって転倒。
達也が倒されながら繋いだボールを、左から駆け上がった宇賀神が執念でゴールに突き刺しました。
しかし、同点に追いついたものの達也の右足は戦いを継続できない状態であるのは明らかでした。
それでも交代枠を使い切ったレッズは、負傷した達也を代えることができませんでした。
その後、ペースを掴み攻め続けますが、勝利に結びつけるゴールが奪えませんでした。
結果的に、今季ずっとレッズの課題だったことが、最後まで克服することができませんでした。
良い時間帯に追加点を奪えない、ゴール前までボールを運んでも、シュートの精度を欠きました。
交代枠を使い切り、選手の状態を考えると、レッズは90分が勝負だったと思います。
延長は一転してガンバが主導権を握り攻勢を強めました。
それでもレッズは必死で守り、必死でゴールを奪って勝利を手繰り寄せようと頑張ったと思います。
そして迎えた延長前半の終了間際。次の1点がガンバに入ってしまいました。
それでも諦めない。まだだ。まだ先に行くんだ。
終盤にセルの必死の折り返しに、全力でゴール前に飛び込み足を伸ばした宇賀神。
最後のCKを祈りを込めて蹴ったロビー、攻撃参加を見せた山岸。
痛む足を引き摺りながら最後まで走るのを止めなかった達也。
彼らの表情を追い、彼らの息遣いを聞き、彼らの心臓の鼓動を感じる…そんな感覚でした。
最後の瞬間まで諦めることなくゴールを目指した浦和レッズの選手の想いは伝わってきました。
そして… 浦和レッズの2010年シ−ズンの終りを告げる笛が響き渡りました。
夢は望んでも叶わないことがあります。でも夢は望まなければ叶うことはありません。
叶わなかった夢だったとしても、夢を現実のものにしようと出来る全てを出した戦いでした。
自分たちが浦和レッズに望んだ夢を、最後の瞬間まで叶うことを信じて戦う選手がそこにいました。
選手、監督、スタッフ、サポーターの想いは、小雪舞い散る万博の空に散りました。
元日の国立競技場まで旅を続けたいと、120分を戦いましたが残念ながら夢は叶いませんでした。
終わりを告げる笛が鳴り、もうこのメンバーで共に戦うことは二度と出来ません。
フィンケ監督、ロビー、萌、共に戦ってきた多くの仲間は来季は違う場所で戦うことになります。
もう一度勝ちたかったです。どうしても勝ちたかった。まだこのチームを見ていたかったです。
これでフィンケ監督と共に歩みを進めた2年間の旅は大阪の地で終焉を迎えました。
共に戦った浦和レッズの仲間たちが、それぞれの場所で迎える2011年。
いつか、笑顔で “2010年の浦和レッズは幸福だった” と振り返るときがくるといいな…
いまはただ、赤豆さんは2010年を共に戦った全ての浦和レッズの仲間たちに感謝しています。
共に戦うことができた2010年。赤豆さんはずっと幸せでした (=´ー`)
共に戦った大切な仲間に…
お疲れ様でした。そしてありがとうございました。
第90回天皇杯全日本サッカー選手権、準々決勝
ガンバ大阪2−1(前後半1−1 延長1−0)浦和レッズ
得点者:72分遠藤、81分宇賀神、103分宇佐美
主審:東城穣
2010年12月25日(土) 13:04 KO 万博記念競技場 入場者:14,815人

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