これでは観客は戻ってこないだろうと感じた新潟戦でした。
たいした雨でもなく、勝つ可能性が高かった相性抜群の新潟が相手。
この条件下で観客が3万人を大きく割り込み、2万5千ちょっとというのは危機的な状況です。
新潟がアウェイ席をしっかりと埋めてくれてこれですから、2万人を割るのも近いかもしれません。
もう埼スタを埋め尽くしたレッズサポで繰り広げるビジュアルは出来ないかもしれません。
レッズの布陣は噂された通り、鹿島戦後半、同点に追いついた4−4−2でした。
ペトロは選手の意見を受け入れたのか、高崎を入れエジとの2トップの布陣で臨みました。
前半、それなりに距離感も改善され、エジ&高崎の2トップは機能していたように感じます。
望んだ“形”の布陣で選手も意欲的に動き回り、ほぼ一方的に新潟を押し込み、試合は進行します。
前線のターゲットが2人になったことによって、どちらが競ったボールをもう1人のFWが狙ったり、
相手に奪われても元気やマルシオが激しくプレッシャーを掛け相手の攻撃の芽を摘み、
ボールを奪っては積極的にドリブルを仕掛け、相手サイドを蹂躙したりと見所がありました。
柏木はやや下がり目のポジションで、啓太とのダブルボランチだったのかもしれません。
前半の柏木はやや下がったこともあって、前を向いてボールを受けることが多くなり、
ターゲットになる選手が増え、元気・マルシオが動き回るので、持ち味を発揮することが出来ました。
意識してDFラインを上げていたのでしょう、全体がコンパクトにまとまっていたと思います。
前半、攻撃陣と守備陣の距離、ボランチとDFの距離、サイドの選手と真ん中、前線の選手の距離、
元気、マルシオ、柏木がその中を激しく動きまわり、新潟をほぼ一方的に圧倒していたと思います。
新潟の攻撃があんまりだったので、これは1点獲れば何とかなるのかも…と思ったのですが…
先制点は前半の良い時間帯に、マルシオのFKにエジが合わせて意外にあっさりとレッズに入ります。
新潟から移籍してきたエジとマルシオの2人が、苦しむチームに先制点をもたらしました。
ここまで無得点のエジはとても苦しかったと思いますが、この得点で気分的にホッとしたことでしょう。
… マルシオとエジはゆりかごダンスをしていましたが2人だけとはちょっと寂しい…(;^o^A
先制したことで少し選手の意識が攻撃から、守備へ移ってしまったように感じました。
その後に訪れた2度のビッグチャンスを決め、追加点が獲れていたらまた意識は変わっていたでしょう。
相手GKを弾いたボールから柏木のボレーシュートはゴールライン上で相手選手に阻まれ、
前半終了間際にはスローインからの流れで高崎がGKと1対1のチャンスを決め切れなかったことも、
勝ちから見放されてきた選手たちの意識にズレを生む要因になったのかもしれません。
1点をリードしながらも、獲れなかった追加点がチームに影を落として終えた前半でした。
後半に入ると個々の選手の意識にズレがあったように思います。
相手に同点に追いつかれたくないという守備陣と、追加点を奪おうとする攻撃陣。
レッズはDFラインがズルズルと下がり、全体をコンパクトにまとめることが出来ませんでした。
新潟のFWの選手がレッズDFに対して激しくチェックするようになっただけで、
ただそれだけでチームとして、守備面も、攻撃面も全く機能しなくなってしまうのがいまの現実です。
追加点が奪えないジレンマ、同点にされる恐怖心、失敗したくないだけの消極的な心理状態。
さらに前半から蓄積された疲労からか、運動量が激減しており、選手間の距離も間延びしており、
前線にボールを送っても、FWが競ったボールに対しても、フォローする選手が誰もいない状態に。
セカンドボールも難なく相手に奪われ、間延びして出来たスペースを使われ出すともういけません。
個々がやろうとしたことが出来なくなると、それを修正するチカラはいまのレッズにはありません。
ピッチ上の選手が個々に考え、個々に頑張るしかないという状況は、もはや組織ではないと思います。
どうすればいいのか。どう動けばいいのか。どう守ればいいのか。拠り所となる戦術はありません。
呆然と立ち尽くすだけのサッカーが、今季の浦和レッズの精一杯の姿なのだと思うと悲しいです。
レッズサポが陣取るゴール裏の目前での攻防…失点シーンは実に情けないものでした。
山岸が弾いた相手FKのボールは、相手にフリーで渡り、フリーで回され、フリーで決められました。
ゴール前で何のプレッシャーのない状態で相手にボールを回され決められるとは…
後半、浦和レッズがホーム埼玉スタジアムで見せたサッカーは酷いものでした。
それぞれが迷い、個々の選手が個人で頑張るサッカー。そこに組織で戦う姿はありません。
共通認識がないなのでパスを出して欲しい時にパスは来ない、パスを出したところに選手はいない…
個人が頑張ってもそにフォローはなく、連動した攻撃も、連係した守備もそこにはありません。
ボールを奪う場所も、攻撃に出るタイミングも、戻るタイミングも、共通の認識は存在していません。
幾度となく山岸が大きく蹴りだす、可能性を全く感じられないボールを眺めるだけでした。
ビルドアップもままならず、 “常に主導権を握り攻撃的なサッカー” ではないことは明らかです。
目指しているものがなんなのか、どこに向かっているのか、それが見えないことがツライです。
ペトロがレッズでやりたかったサッカーは何なのか、どこに向かっていこうとしているのか。
もう、ファイト、闘志、情熱、個人の頑張り、それだけで戦っていけるとはとても思えないです。
1トップだとか、2トップだとか、フォーメーションを弄ってどうにかなるとは思えません。
どんなサッカーを目指すのか、そしてそのサッカーに向かって一丸となって進むことが必要で、
それは1トップであっても、2トップであっても目指すものはブレてはいけないと感じています。
昨年までのサッカーは見る影もありません。浦和レッズは積み上げた全てを捨ててしまいました。
今季の初めに見せていたペトロがやりたかったであろうサッカーも、もうそこにはありません。
誰が、選手も監督もサポーターも望んでいないようなサッカーをさせているのですか?
浦和レッズは、進むべき道を完全に見失っているのではないかとさえ思えます。
レッズは調子を落としているということではなく、道標を失い迷路を彷徨っている状態です。
どんなサッカーをするのか思い悩み、試行錯誤、暗中模索、というとても悲しい2011年シーズンです。
そしてどこに向かえば良いのか、誰ひとり分かっていないことが “いま” の現実です。
僅かな光明を見出す前に、どんどん坂道を転げ落ちて谷底に沈んでしまうかもしれません。
いま望むことはただひとつ。全員が同じ方向を向いて戦おうとする意思は失わないで欲しいです。
赤豆さんが応援する愛する浦和レッズは、全てが10数年前に戻ってしまいました。
2011年Jリーグ 第13節
浦和レッズ1−1(前半1−0)アルビレックス新潟
得点者:22分 エジ、70分 鈴木(新潟)
主審:廣瀬格
2011年5月28日(土) 14:01 KO 埼玉スタジアム2002 入場者:25,272人

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