最終節。ホーム。仲間との別れ。大切な試合は1−6の惨敗に終わりました。
この試合について振り返ることは、全てが終わった今、必要ではないのかもしれません。
ピッチでうなだれる選手たちは自分を写す鏡だったように感じます。
ゴール裏に並んだ選手たちに浴びせた “We are Reds!!” のコールは自らの決意のようでした。
フロントは最後まで進むべき道を示すことも、
確固たる信念を持ってクラブを運営することも出来ませんでした。
開幕2試合で選手が踊っていないとの理由でオジェックを電撃解任。
後任のゲルトがチームを立て直しに成功。緊急避難的な采配でリーグは一時首位に立ちました。
しかしその場凌ぎの采配は長続きせず、ビジョンのないチームは徐々に停滞していきました。
チームに閉塞感が漂い、首位からズルズルと後退する兆しが見えても、
ACLもガンバ大阪に敗れて準決勝敗退となっても最後まで明確な指針を示すことができませんでした。
不穏な空気は 「すべては今季が終わってから」 と封印し、
フロントは2008年シーズン中のゲルト監督への全面サポートを公言しました。
あくまでも今季の優勝とACL出場権の獲得を最優先にするとしてきました。
それでもサポーターだけでなく、チーム内からも采配や選手起用などを批判する声が高まります。
勝ち点差1で迎えた残り3試合。清水戦で敗戦すると土壇場で急遽解雇を通告する事態になります。
しかも解任を通告するまでのクラブの迷走ぶりを白日の下に晒します。。
全面サポートを公言していたゲルトに通告する前に、後任監督人事を報道機関にすっぱ抜かれ、
名指しされたフィンケ氏が来日し、清水戦を視察するとあってはゲルトの心中は穏やかではありません。
去就をはっきりさせたいゲルトに催促される形でのドタバタとした解任通告でした。
こういう形での解任通告は全ての責任をゲルトに負わせるような印象をもってしまいます。
しかも残り試合はそのままゲルトに任せるという決断は、今季を捨てたといっても過言ではありません。
最悪の形でチームを引き継いだゲルトにしてみれば、腸が煮えくり返る想いだったでしょう。
確かに現場の責任はすべて監督にあります。それは紛れもない事実です。
それでもフロントは、采配に疑問があるのならば、強化部門の責任者が徹底的に話をするべきだし、
チームの進むべき方向が間違っているのであれば、正しい道をゲルトに示すべきだったと思います。
監督に任せることと、フロントとしてチームの指針を示さないことは同義語ではありません。
首位から勝ち点差1で迎えた残り3試合。絶対に勝つと言った試合にすべて敗戦。
この3試合で1勝も出来なかったことは、フロントの迷走がもたらしたものだと思います。
ゲルトは5年間という長きに渡ってチームに尽くしてくれた功労者です。
采配や選手起用に疑問を感じることはありましたが、それでこれまでの功績が消えることはありません。
プロであるならば、結果を問われることは当たり前のことであり、
ゲルトは監督に昇格したときから、結果がでなければ批判されることを覚悟していたと思います。
プロのクラブである以上、フロントもプロでなければなりません。
途中で指揮官が変わった今季は、フロントがやるべきことはたくさんあったはずです。
フロントはゲルトときちんと話をしたのでしょうか。他に出来ることはなかったのでしょうか。
異例の早さで発表された後任監督人事が、今季の総括を曖昧にするためでないことを切に願います。
批判の矛先を変えることに目を向けず、やるべきことを逃げずにやって欲しいと思います。
監督を変えることだけがフロントの仕事ではないと思っています。
とここまで書いて、思うことがひとつ。
「適材適所」
今季あちらこちらで聞かれた言葉です。
いま感じることは、藤口さんも、修三さんも、適材適所ではなかったということです。
特に今季の浦和レッズでは、一番力を発揮できるポジションじゃなかったのかなぁと感じます。
藤口さんは、気を使いすぎだったのかもしれません。その気の使い方がすべて裏目にでました。
ゲルトの解任にしても、本人になかなか言い出せなかったということのような気がします。
表面上は波風を立てないように問題を先送りし、全てが壊れてしまったという印象は拭えません。
でも動きがあれば、それはいつかは伝わってしまうし、外から聞かされると印象は良くありません。
今季の浦和レッズの迷走を止めることができなかったことは、代表である藤口さんの責任だと思います。
でも藤口さんも、修三さんも、やっぱり “浦和レッズを愛している” と思います。
このタイミングでシーズン終了の挨拶に立てば、どんな状況になるかは容易に想像できます。
ブーイングが響き渡る中、逃げずに挨拶に立った藤口さんに罵声を浴びせることはできません。
責任を痛感している藤口さんに、聞くに堪えない罵声が飛ぶ悲しい時間でした。
ただ罵声を浴びせるだけのサポーターにも、今季の迷走の原因があるように思います。
ブーイングは意思を表示する方法として理解できますが、罵詈雑言は自身のガス抜きでしかありません。
浦和レッズに関わる仲間に対する罵詈雑言は自らを否定しているように感じます。
そんなことも含めて “迷走” した1年だったと思いますし、最終節は今季を象徴する試合でした。
今季はサポーターも含めてひとつになれなかったシーズンだったと感じます。
ここ数年なかったほど早いシーズン終了でしたが、こんなに長く感じたシーズンはそうありません。
でも赤豆さんは浦和レッズが大好きです。
いまあらためて 「強くなりたい」 とも強く思っています。
シーズンの終了は新しいシーズンの幕開けでもあります。
浦和レッズは2008年に今まで積み上げたもの全てを失ってしまったのかもしれません。
新監督で迎える新シーズンは、強化部門の体制を見直したただけ容易に改善するとは思えません。
壊れたチームを立て直すには、相当の時間と努力が必要だと感じます。
来季のチームには困った時にチームを纏めてきた岡野やウッチーはもういません。
それでもレッズがなくなってしまうわけではありません。
今度は決して壊れないチームを作るために、レッズに関わる全ての人が頑張ることが必要です。
サポーターも相当の覚悟を持って臨む必要があるシーズンになりそうです。
選手たちに浴びせた “We are Reds!!” のコールを、来季への決意表明にしなければなりません。
最後に5年間共に闘ってきたゲルトに感謝したいと思います。
監督に昇格したときにこんな別れ覚悟はしていましたが、本当に辛い別れになりました。
浦和レッズの監督になったばっかりに、辛い想いをさせてしまったと申し訳なく思います。
ゲルトと共に過ごした5年間、たくさんの喜びを与えてもらったと思います。
お疲れ様でした。そしてありがとうございました。

1