2005/8/3
今日は朝起きると昨日兄が拾ってきた飛べないスズメはどうやってか、段ボール箱から出て、ちょこちょこと歩いていた。
ごはんを食べているか心配していたが、うんこをいっぱいしているので、まずは安心した。
バイトへ出かけるときクーラーを止めて、窓を開けた。
大丈夫か心配だったけど、バイトはどうしようもなかった。
昼過ぎ、バイトの休憩中の終わりかけ、母からメールが入ってきた。
件名もなく、ただ一文だけ。
「すずめ、死にました。」
それから4時間のバイト中、私は自分を責め続けた。
きっとダンボールの中が暑くなりすぎたんだ。
きっとお水がなくなってしまったんだ。
暗くて狭いダンボールでストレスがたまってしまったんだ。
朝まで元気だったのに、朝まで目をパチクリさせながら指にとまっていたのに。
家に帰るとまだ私の部屋窓辺には死んだスズメを入れたままのダンボールがおかれていた。
飛べないスズメは小さくて暗い段ボールの中で羽ばたくように羽を広げて、横たわっていた。
今日1日で、世界中で多くの命が消えていっているはずなのに、私は目の前の消えたばかりの小さな小さなたった一つの命に涙した。
このスズメの命の儚さに、私はやっぱり消えてしまっていい命などひとつもないような気がした。
スズメは兄が家の外に埋めた。
家には段ボールで作った鳥かごだけが残った。

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