2009/5/27

速記存亡の時  歌声喫茶

 速記の仕事は、数社による寡占と行き過ぎのダンピングが問題になっている裁判所入札関係が3万5千時間、全国の議会、会社、学校、個人、その他を合わせれば50万時間以上あるものと思われます。

 裁判所の速記官養成も国会の速記者養成もなくなり、民間の速記学校の学生も大幅に減っていますが、日本の速記の仕事は、これから大丈夫なのでしょうか。テレビがあれば速記は要らない、速記者の養成も必要ないと言い切れるのでしょうか。

 【セミナーに参加して】

 私は、5月21日に、「士業のためのプロフィール作成講座」に参加させていただきました。

 弁理士、税理士、行政書士、司法書士、社会保険労務士、環境管理士、速記士、ライター、ディレクターといった人が集まりました。

 一口に「士業」といっても、さまざまな仕事があり、それぞれの仕事情報を聞けて、大変勉強になりました。

 「士業のためのプロフィール作成講座」では、2人で組んで、お互いに相手の話を聞いて、書き取った内容をみんなの前で発表するという練習をしました。

 私が、一緒に組んだパートナーの話を、速記で書き取って、細かい部分も正確に漏らさず発表したのを見て、速記の便利さを痛感されたのでしょうか、懇親会のときに、速記を勉強したいと言われた方が何人かおられました。

 速記の基本的な書き方について、御案内できる機会があればと思いますが、とりあえず、私のホームページ「速記の書き方」をごらんいただきたいと思います。

 実際に速記文字を書いてみてください。速記の面白さ、便利さは、書いてみないとわかりません。

 速記は、人の話を、聞いて書いては読み返す、聞いて書いては原稿にするということを行います。聞きっぱなし、書きっぱなしではなく、聞いて書いたことを発表することができます。

 【テレビから直接タイピング】

 参議院では、約1年間の試行期間を経て、2009年2月2日から、速記録を作成する方式が、テレビを見て直接JISキーボードでタイピング入力する方式に変わりました。

 委員会室の4隅上部には、4台の大きなテレビカメラが設置されています。カメラマンは別室でリモコン操作により撮影しています。このテレビカメラの映像と、1つの座席に1台あるマイクから送られてくる音声を使って速記録を作成しています。

 速記を用いない方式になったので、一般職の職員でも速記録を作成することができます。毎年、職員の意向調査があって、自分の希望する仕事ができるシステムになっています。一般職で速記録作成業務に従事したい人がいれば、速記録作成業務に従事することができます。新人か中堅かベテランかとか、男か女かとか、T種かU種かV種かとか、そういうことではなくて、速記録作成業務に従事したいという志があるかどうかが問題です。

 速記の事務量は、衆議院が1800時間、参議院が1700時間程度です。

 人の話は、10分間で3200字、1時間で2万字程度になります。

 私は、高校2年生のとき、昭和44年に父親からソニーのカセットテープレコーダーを買ってもらいました。テープレコーダーがあっても、速記がなくなるなどとは夢にも思いませんでした。迷わず速記の道を歩んできました。

 先輩方も、録音はあくまでも速記の補助だと言って、速記を守ってこられました。録音は必要ですが、現場で速記しないとわからないことがいっぱいあるし、よく聞こえないこともあります。録音が入っていないこともありますので、良心的な仕事をするためには、録音は速記の補助だと位置付けて、現場で速記しなければなりません。

 現場取材は大切です。

 自分が現場で見たり聞いたりしたことは、自信を持って書くことができますが、テレビや録音などから間接的に得た情報は、確信を持って書くことができません。

 私は、速記に幾度となく助けられてきました。

 速記 が書けると、人の話をすべて書き取ることができます。そしてすぐに、どの部分からでも読み返すことができます。

 速記が書けないと、その場で覚えなければなりません。自分の理解力、記憶力に頼らざるを得ません。

 人の話を人に伝えなければならないとき、一生懸命聞いても、すぐに右から左に消えていきます。書こうにも書けませんから、十分に伝えることができません。

 速記が書けると、細かいところまで漏らさず正確に書き取れますから、人の話を正確にスムーズに伝達することができます。精神的にも余裕を持って対応することができるのです。

 録音機は、音を記録する機械であって、人の話を文字化、文章化する機械ではありません。

 自分の考えたことを書くにしても、人の話を書くにしても、文章を書くのは人間の頭だと思います。決して、人の話の文字化、文章化は、機械の力だけでできるものではありません。

 【速記教育の再開はあるか】

 速記は、人の話を、一言一句すべて書き取ることもできますが、必要な部分を選んで書き取ることもできます。

 取材の際に、速記が書ければ便利です。

 速記がすらすら書けるようになるには、相当の練習を必要としますが、短期間の練習でも、使えるようになると思います。

 速記は、点、直線、円、円弧、楕円、楕円弧を用いて文章を書くものです。

 速記文字は、この世で最も簡単に最も速く書ける文字のことです。1音を1画で書くことが原則です。1つの言葉を1筆で書くことができますので、速く書き取ることができるのです。

 省略法や省略符号も使いますが、最も大切なのは基本文字です。

 私は、改良した速記の書き方を普及させようと、昭和60年4月から、最寄りの公民館で速記を教えてきました。

 テレビがあれば速記は必要ないということで、衆参の速記者養成所は廃止されましたが、速記教育が見直される時は必ず来ると思います。

 今、私がやるべきことは、速記のテキストをきちんと整備しておくこと、学生の間に速記を普及させることではないかと思います。今後、文部科学省教育の中に取り入れられるようなレベルにまで速記教育を高めていかなければなりません。

 【会議録発行の遅延】 

 速記をとらなくなって、会議録の発行が遅れるケースがふえています。会議録は、疑問点、問題点を克服して、大丈夫、間違いないと判断されたとき、初めて発行されることになります。疑問点、問題点の解消が、現場に出て速記していないために、今までより手間取っているといいますか、遅くなっているのではないでしょうか。

 会議録の発行は、滞りなく、迅速に行われなければなりません。

 速記者が現場に出ていれば、これはすぐに問い合わせをしなければならないとか、これはすぐに資料の要求をしなければならないとか、この言葉とこの言葉の間に委員長が交代したとか、何時何分から何時何分まで速記中止になったとか、何時に開会して何時に散会したとか、その場でわかりますが、現場に出ていないと反訳するまで何もわからないわけです。何本も反訳がたまっている場合、そのことに気付くのに何時間も何日もかかることになります。

 速く反訳すれば早く発行できるというものではなくて、速く疑問点や問題点を解決したときに早く発行できるわけです。速記には、会議録を早く発行する力があると思います。速記の価値をいま一度見直してみる必要がありそうです。
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