「広島・長崎の思い出」連載もようやく終了し、遅ればせながら「総選挙モード」に突入したい。
ある人と話していてふと思ったことを書きたい。なぜ「やっぱり自民党が強い」のか、「民主党がなぜこれだけの票が取れる」のかが、僕の疑問なのだが、その理由がなんとなく分かったような気がしたのだ。
要するに「各政党は誰に支持されているか」ということだ。
自民党の党員・党友は約160万人いる【自民党員数が、2002年末現在で162万4799人と、82年以降で最低。前年比4.2%減で、減少は5年連続。【過去最高だった平成3年(546万5243人)の約3割に落ち込んだ】(産経)】。そして、彼らは政府から補助金をもらえる強力な大衆組織(実は利益団体)を牛耳っている。財界はもちろんだろうが、日本遺族会、日本医師会、郵便関係、農協、障害者団体、枚挙にいとまが無いが、「自治会」「赤十字」も含め社会の各層に組織の網をめぐらせている。
これらの伝統的自民党支持組織は、ある分野ではほころびが見え始めているが、完全には崩壊していない。
http://www.cafeglobe.com/news/politics/po20000824.html
次に同じく与党の公明党は、もちろんほぼ100%創価学会がその支持基盤だ。学会員は821万世帯(2003年)、400万人強(?)と推定される。学会員以外で「公明党大好き」という人がいたら、是非教えてほしい。ちなみに今回の選挙では、自民党議員が「比例は公明党に」と絶叫している。そう言われて「公明党」と書く自民党員(支持者)の精神構造も恐ろしい。
続いて民主党。彼らは恐ろしいほどの「組織政党」だ。公称672.6万人の組合員を擁する「連合」が、加盟組織に「民主党一党支持」を押しつける。社会党・民社党が取ってきた伝統的やりかたを踏襲している。
それにしても「連合」の組合員は、「上からの締め付け」というだけで、よくも自分の首をしめる投票行動をとるものだ。自分の意思を持てない、かわいそうな奴隷労働者たちだこと。
これに対して、俗流マスコミが何の検討も無く枕詞として「組織政党」と呼ぶ共産党ほど「組織政党らしくない」党は無い。公称で40万人の党員、新聞発行部数は日刊・週刊を合わせて170万部の規模の党が、この数年で増減はあるが500万前後の得票を得ている。マスコミはそろそろ「レッテル」を貼って 物事を見るのをやめにしてくれ(と言ったところで、無理だろうが)。
社民党については、論評する意味も無いが、都会では一部の「疑似タレント候補」人気、田舎では「利益誘導型」の地元との腐れ縁が基盤のようだ。おまけに「憲法守る」とか、「福祉を守る」とか言っておきながら、やってることはまったく逆。各級地方選挙では自民・民主・公明と「連立」するし、今回の選挙でも民主と協力している。まあ、こんな存在意義のない政党は今回の選挙でなくなるでしょう。さようなら。誰も悲しみません。
【さて、直近の国政選挙の投票率。
投票率・各党の得票数の推移。】後日追加予定
最近では「絶対に投票する」コアの人々は、これら、いずれかの「組織」に組み込まれた人と一部の積極的な市民ということになるのではないか。そして、勝利のためにはいわゆる「無党派層」「浮動票」をいかに取り込むかが鍵となる。
【これら無党派層の動向については、最近行われた都議選の結果を参考】後日追加予定
全体的な傾向として組織が崩壊しつつある中で、鍵を握るのは「組織にとらわれない人」=市民だ。しかし日本における「市民社会」は成熟していない。一部で様々なNGOなどの積極的活動が見られる一方で、圧倒的な人々は「無関心層」にとどまっている。
日本の未来にとって、「無関心層」を多数排出していく仕組みは止めなければならない。「競争教育」の成果により、世の中は一部のエリートによる支配が固められつつある。「エリート」以外の部分は、「自分はだめな人間だ」という意識を幼少の頃から植え付けられ、一つの人格を持った「市民」となることを否定される。彼らはエリートのやることに反対するだけの能力も持てず、客観的な不満を不満とも思わず、ただ「どうせ誰がやっても政治なんて同じだし、何をやっても変わらない」という意識を持つ。そしてテレビに出てくる有名人を「アイドル」「カリスマ」「ヒーロー」視して、彼らに従う。
今度導入される「学力テスト」は「エリート」選抜をさらに推し進めることにつながるだろう。
話が脱線してしまったが、要するに社会を改革するには、既存の組織にとらわれない(友好関係を結ぶのは構わない)、新しい「人と人の連帯」を作ることだ。この作業ができていない現在では、これまでの「コア」の部分の人々による「票の移動」が行われるに過ぎないだろう。
よって僕は今度の選挙にそれほどの期待をしていない。
その一方で、小泉内閣4年間の「痛み」を本当に痛みとして実感している人が多くなってきていることも確かだ。「もう自民党には未来を託せない」と感じている人が増えている。彼らがマスコミに流されて民主党に投票しなければ、日本の政治に明るい展望が見えてくる。
僕が求める具体的結果は、自民(公明と足しても)
も民主も(政権欲深い公明が近寄ってきても)
単独で過半数を取らないことだ。これが何を意味するかはお分かりのはずだ。

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