6日、渋谷革新懇が主催してのアレン・ネルソン講演会が代々木で開かれた。
アレンさんは、元米海兵隊員。ベトナム戦争への従軍経験がある。「戦争とは何か?」「人を殺すとはどういうことか?」。実体験を元に、来日のたびに各地を語り部として行脚している。

アレンさんは、見たとおりの黒人さんで、母親一人の手で他の3人のきょうだいとともに育てられた。すなわち、米国を代表する「貧困層」の出身だ。
そんな彼は、海兵隊があこがれで、入隊したことを誇りに思った。厳しい訓練にも耐え、ベトナム戦争に従軍することも名誉に思った。
ベトナムに赴く前、当時まだ米国の占領下にあったオキナワで訓練を受ける。そこで彼は、まさしく「人殺しマシン」となった。
ベトナム行きが決定した彼は興奮した。
そして彼はベトナム人を殺しまくった。
彼はある時、敵の攻撃を避けるため、ベトナム人の防空壕に飛び込んだ。そこには、ベトナム人少女が1人いた。黒人米兵を見た彼女は、恐怖におののくが、その場を動くことができない。彼は不思議に思ったが、すぐにその理由が分かった。
彼女の股間に、何か動くものが見えた。彼女は出産中だったのだ。
人を殺す訓練しか受けてこなかった彼は、どう出産を手伝えば分からなかった。
とっさに手を出した彼の両手に、赤ちゃんが落ちてきた。
彼女は、さっと赤ちゃんを奪い取り、歯でへその緒をかみ切り、防空壕を飛び出していった。
彼はまるで夢を見ているようだったが、彼の両手には胎盤が残っていた。
彼は目が覚めた。
今まで「共産主義者」「ベトコン」であり、殺りくの対象であった「ベトナムのやつら」は自分と同じ人間だったのだ。
もう人を殺すのはやめよう。。。

◎写真は米本国とオキナワでの射撃訓練のやり方の違いを説明しているところ。米国では、一点に銃弾を集める訓練を受け、オキナワでは、人型を使い、「下腹部」に銃弾を集める訓練を受ける。もしあなたが、「頭部」や「心臓」を狙うのならば、それはあなた自身の「死」を意味する。
映画で見る戦争にはヒーローがいる。ヒーローは、女子供を救う。かっこいいBGMがある。。。
しかし、実際の戦争にヒーローはいない。女子供を殺す。聞こえるのは銃弾の音、人を燃やす炎の音。
そして実際にあって映画にないのが、「臭い」だ。
火薬の臭い、人を燃やす臭い。
どんなに「良い戦争映画」も、その「臭い」を伝えることはできない。
彼はその臭いを忘れることができない。
「みなさんには9条があってラッキーです」
日本人には9条があるから戦争を知らない。人を殺さない。世界の主要な国々は、みな戦争を知っている。人を殺している。
もし9条がなくなれば、戦争をし、人を殺すことになる。人を燃やす「臭い」をかがなくてはならない。。
「9条は日本人だけのものではありません」。
世界に誇る9条を、一部の政治家の思惑だけで変えてはいけない。
「今までみなさんは、9条に救われてきました。9条が危機にある今、みなさんが9条を救う時です」

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