2007年9月23日(日曜日)
愛媛2−1香川(サーパススタジアム;高松オリーブ)
今日は始まる前からかなりいつもと雰囲気が違っていた。まず、高校野球の試合が押しまくって、開門が遅れる。物凄い人が球場外に溢れる。溢れている状態で押しかける人、人、人。切符もぎりの方が2人しかいず、物凄くゆっくりとしか入場できない。愛媛応援団の声?で5人に増員。それで、何とか19:00の試合開始にはほぼ全員入場した。
球場に入ると、香川側はほぼ埋まっている。物凄い声援。一方、愛媛側も推定400人(主催者発表風)で盛り上がる。天王山に相応しい雰囲気。そして、天王山に相応しい両先発。愛媛は浦川、香川は松尾。スカウトさんも一杯。
試合が動いたのは4回。まず、4回表のことを書いておこう。一死一塁でエンドラン(だったと思う)で比嘉選手が必死で当ててライト前へ小飛球。「こりゃあ落ちそうだ」と思った。グレアム選手はもう、戻らない。近藤(洋輔)右翼手は懸命にダッシュ、地面ギリギリで好捕、ダブルプレー。球際に強い良いプレー。
さて、4回裏、先頭の三輪選手は球威に負けた小飛球。三塁側から見ると若干ライトのスタートが遅れる。それで飛球は前へ落ちた。盗塁後、堂上選手のセンターフライ(ほぼ正面)でタッチアップ、三塁を陥れる。いやあ、速い。智勝選手を交わしてポップアウトのあと、丈武選手。ちょっとコントロールを乱して、0−2。「こりゃあ、勝負しないかなあ、それともまだ早いイニングだし、ランナー貯めないかなあ」と思っていたら、144km/hの今日最速の真っ直ぐでカウントを取りに来る。それを詰まりながらも力でセンター前へ。
「飛球が取れる/取れない、勝負する/しない、香川との差はこの辺の紙一重なんだよなあ」と痛感。その後、松尾投手の上下動が出始め苦しむも、要所で球威のある球でねじ伏せ、浦川投手も耐えて9回へ。
先頭の長崎選手のとき、明らかに松尾投手は疲れていた。しかし、天野投手は昨日の先発。完投しなくてはならない。長崎を歩かせてしまう。次のグレアム選手。0−3に。その間、いつものごとくファーストとサードは猛チャージ。1球ストライクのあと、チャージを意識したのか一塁側ギリギリにバント。ファール。こうなると、まずマトモに成功しない。投手前にするだけだ。グレアム選手の足なら、余程殺さない限りは(捕手以外に取らせる場合は)ダブルプレーはない。しかし、チャージの幻影があったのか、またファールに。監督の「鬼度」はともかく(いやあ、グレさんだし、バントか)、「こういうのが決まるかどうかは紙一重なんだよなあ」、と思う。そして、比嘉選手。見事な流し打ち。しかし、いつものごとくそこにはセンターが。「これが香川だ」と呻く三塁側。2死。スコアリングポジションにさえ進められない。香川の力量に屈するのか。ただ、ここまで何試合か負け試合をひっくり返してきた愛媛。9回最初から異常に盛り上がっていた声援が、さらに盛り上がる。
大島選手。一発長打も期待できる選手だが、今日はライトに非常に強い風。軽打で繋ぐ。見事なバッティング。そして本日の主役、桧垣選手。もう、物凄い声援。最後の打者かも知れない。祈るような気持ち、必死の声援。アウトコースの球に喰らいつく。ライナー性の左中間への飛球。必死で追うセンター。その先を抜ける。地鳴りのような三塁側の声。本当に嬉しそうに、セカンドで手を上げる比嘉選手。そして、喜びを爆発させる三塁側ベンチ(全員飛び出していた!)とスタンド。浦川投手を見ると、もう、涙が出てくる。色々と差を感じさせられる香川だが、その香川に勝ち越した。
力尽き、ベンチに下がる松尾投手に万雷の拍手。非常に美しい光景だった。
その後のチャンスは松坂選手の三振(物凄くポイントが近いぞ?どうしたんだろう?)で潰え、その裏。浦川投手も基本的に球がバラケている。2−3から堂上選手を空振りで仕留めたか?と思ったのが、ミットから落ち(決して捕手のミスではない)、最後は高めに抜けてフォアボール。ガイナマイツにリードされる香川ファンも物凄い声援。「スゲエや」と呟く三塁側。続く智勝選手は、変化球が抜けたりして0−3に。この時点で、非常に怪しくなる。1−3になり、「四球だけはやめてくれ」と思っていたら、ここは香川の四番、甘い球を痛打。ライト頭上を襲う。しかし、1塁にランナーがいたために深く守っていたのか、長崎右翼手がフェンス前で辛うじて追いつき、アウト。丈武選手はお悩みのご様子としか思えないスイングで三振。これは梶原捕手のリードの賜物か。2アウト。最後、ブライス選手がセカンドゴロでゲームセット。喜びを爆発させるナイン、ベンチ、そして観客。で、落ち。ヒロインになぜか桧垣選手がいない。でも、浦川コールのあと、つんざくような浩太(桧垣)コール。
これからどれだけ独立リーグが続くか分からない。しかし、続く限りは愛媛のファンはこの試合を語り続けるだろう。小生も多分、一生忘れない。物凄く良いゲームだった。らっくさん、toyokachiさん、この試合が見られなくて非常に残念!!
さて、以下、思いつくまま。
・試合開始直後の投球練習のあと、堂上捕手のセカンドスローが物凄い球だった。捕手送球なのに133km/hって一体・・・。(投手投球じゃないタイミングで計時)
・初回裏、三輪選手の強い打球を、三遊間で守っていた松坂が処理。非常に良いところに守っていた。香川だけじゃないのね。投手の球威とコントロールを信頼しているが故のプレーかな。
・3回裏、生山選手のドラッグバンドを、連携良く処理。一歩目に弱点のあるファーストを狙う良いバントだし、投手もスタート良く一塁カバーに入った。チームメイトの弱点をカバーする良いプレー。
・5回くらいから松尾投手の上下動が激しくなったように感じた。トイレへ移動時、バックネット裏から見ていると、真っ直ぐがマッスラ気味で、体が少し一塁側に流れていた。スカウトさんはどう評価するのだろう。体力の消耗が激しそうな??
・堂上の盗塁時、ショートカバーが遅れてタッチできず、アウトをセーフにしてしまっていた。この辺が、香川との差の一つか。
・一発屋っぽいブライス選手だが、全く変化球にタイミングの合わない2三振のあと、センター返しを心がけたスイングに切り替えたように思う。結果はセカンドゴロ二つだったけど、適応能力は高そうだ。打率が高いのが何となく分かる。
繰り返しになるけど、どっちが勝とうが負けようが、物凄い良い試合だった。アイランドリーグはここまで来た。2005年開幕時、「松山建装社や新居浜の秋山(いずれも軟式の強豪)のほうが強いで? いや、守備だけならワシらのほうが堅いで」と思ったレベルではない。こういう試合を何度もやって、お客さんを魅了し続けて欲しい。

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