2009年6月13日(土曜日)
川之江野球場
晴れ、ほぼ無風
愛媛マンダリンパイレーツ8−8福岡レッドワーブラーズ
昨日に続いて駄目出しから。篠原君は、一人目の打者には真っ直ぐが低く来てゴロに討ち取った。それから、どういう加減か球が浮いて連打を浴びて、仕上げはハンガーカーブがスリーランに。見ていると、どの球も一生懸命だ。それはそれでいいところもあるけど、先発の場合真っ直ぐは球速にバラエティーがないと、へばる。何よりもタイミングを合わされ易い。
自慢話兼昔話になって恐縮だが、小生が若くて軟式で130km/hくらい投げていた頃、何度かNPB上がりの人と対戦した。ある時、阪急の二軍で四番だったらしい人と対戦した。全力投球で、アウトロー一杯に行って、こりゃあ打てんやろ、と思った刹那、足許に恐ろしいライナーがやって来た。当時は変化球が殆ど投げられず、しかも全力投球ばっかりだったので、対戦後打ちやすかったと言われた。それから時が下がって、三沢で30歳過ぎの頃。元中日の人と対戦する機会があった。このときは、全力で投げる真っ直ぐのほかに、少し挟んで押す真っ直ぐ、全力で腕を振りつつも指先で滑らせる真っ直ぐとか、変な真っ直ぐを各種取り揃えるピッチャーになっていた。この人に二打席、全力球は見せ球にして、フォークまがいやチェンジアップで引っ掛けさせた。打席後、首を傾げておられたのが印象的であった。こっちはニヤニヤ。
球種一つでも、バリエーションをつけること、真っ直ぐでもそれは可能なのだ。ずるいことを覚えないと上ではやっていけないと思う。また、NPBの試合を見ていたら分かるが、良い投手の場合、真っ直ぐの速度は3つくらいある。小生ほど極端な差は普通はないけど、力の入れ具合が違う。あと、一塁側から見ていたら、疲れからか何なのか、篠原君にしては突っ立った投げ方になっていた。体が硬い投手は、被せる投げ方というのもあるけど(メジャーに多い)、まだ若いし、柔軟性もあると思うので、体がしっかりと低くステップを踏み出すように注意して欲しい。苦い誕生日になってしまった。
実は立ち直りかけたけど、3回は味方に足を引っ張られた。簡単に2死を取ったあと、連打を浴びる。2死1、3塁で盗塁された時、捕手の高橋君が素晴らしい送球をした。三塁ランナーが動く気配がなかったので、スルーしてアウトと思ったが、カットに入ったセカンドが中途半端に触れてしまったのでショートの左側にコロコロ転がり失点。こうなると流れは相手に行く。右中間突破のタイムリーの時、外野からの返球が短く、カットが落球している間にホームイン。6−0。3回表でかなり厳しい状況になる。
だが、今年のパイレーツは諦めない。相手は愛媛大を神宮に導いた徳永君。変則の右腕アンダー。体をグイッと捻る様子は、近鉄の柳田さんをもう少し崩したような感じ。真っ直ぐは120km/h位だが、シンカーとカーブに切れが感じられた。初回は。ただ、結構芯で捉えられてはいた。2回は大島君が三遊間突破の後、幸四郎君にエンドラン、ライトオーバーかと思われる当たりだったが追いつかれた。戻りきれずにゲッツー。これはかなり雰囲気を冷やすプレーだったけど、今日はこういうのにもめげなかった。
3回、ネット裏に移動して見ると、切れもコントロールもなかった。愛媛の諦めない心がピッチャーを参らせたように見えた。野球談義でよく言うのは、「芯で捉えても半分弱は野手の取れるところに行く」ということである。しかし、今日の愛媛はヒットゾーンに行った。好調・後安君が今日は技ありの二塁打を見せれば、続く檜垣君はフルスイングのライトへの2ラン。高田君がライトに二塁打を打ったあたりで、かなり投手はへばっているように見えたが、福岡の台所も苦しいようで、続投である。大島君、梶原君が貫禄のタイムリーの後、小林君が、ライトオーバーのもう少しで本塁打という同点二塁打。キッチリと振り切ることが大切。ナイスバッティング。続く高橋君の打球もまた芯で捉えた。ショート回りこんで良く抑えたが、難しい体勢からハーフバウンドの送球でエラーとなり、勝ち越し。3回裏、一挙7点。
4回表からは高木君。復活が望まれ、その兆しはある。今日の4回は、あのエゲツナイドロップが決まっていた。5回、先頭に無駄な四球。荒川君は綺麗なレフト前で無死1、2塁。四番、中村君の時にスライダーを被せに行くような取り方を高橋君がして後逸、無死2、3塁に。とりあえずお約束の「足を動かして下から包め!」と野次っておく。次回からはキチンとしてくれたのは嬉しい(笑)。配球は良いと思うが、勉強せんとあかんことは打撃とかも含め、一杯あろう。頑張って欲しい。で、ここからが凄かった。スライダーとカーブが切れまくり、何と無失点。
追加点の欲しい愛媛だが、塁には出すが、ランナーを進めることが出来ずに無得点。ちょっと嫌な流れになる。6回表、先頭の清水君に四球。続く打者の時に、エンドラン空振だったと思うが、走者清水君が上手く回りこんでセーフ。捕手の送球が短すぎる。アウトで反撃がしぼむはずだったのに、嫌な遺し方だ。三國君はカーブを狙ったような見事なスイングで右中間突破の二塁打。にしても、この時のカーブは真ん中高めだった。判断が難しく、清水君は三塁どまり。続く打者は申し訳ないけど、安全パイと考えなければならない森倫太郎君(投手登録)。2−0まで追い込んだはずだが、変化球をカットされ、結局フォアボール。これは痛い。関口君がタイムリーで同点。こうなると、大量失点のパターンだ。ここで浦川君登場。投球練習を見ると、ボールがバラけ、高く抜けている。不安だ。
翔君は真ん中外より、多分カットボールを先っぽで捉えてショートライナー。しかし、どこにも送球できず。大変怖い、というか、恐らく福岡で一番良い打者である荒川君には真っ直ぐが厳しく行き過ぎて膝にデッドボール。どちらも痛い。逆転。浦さん、開き直ったか、物凄い腕が振れてくる。中村君を球威負けのセンター浅いフライ、陽君はフォークで空振三振。さすがにエースだ。
何とかしたい愛媛だが、左腕大澤君の技と味のある投球の前に、6、7回は無失点。腕を少し上側からリリースするようになった。カーブの縦の切れが増している。7回裏、2死で大島君の所で角野君。アウトコース低め一杯のフォークで空振三振。8回表、投手ゴロでゲッツーを取れなかったのは残念だが、好守もあり0点に抑える。
8回裏。もう、残りは角野君しかいない。先頭の近藤幸四郎君は左中間にゴロのヒット。急造外野手である倫太郎君の守備の動きで判断したのか、ギャンブル気味にセカンドへ。体勢悪いところからの送球がやや緩く、間一髪セーフ! 勢いを齎すプレーだ。梶原君は送りバントを決める。ここで寺嶋君。こういう場面で、何度もヒットを打てなかった。だが、ここは思い切りよく体の前でボールを捉えてクリーンヒット。同点。松原君の時にエンドランがセカンド右に、ダイビングキャッチのファインプレーで2死2塁。投手は動揺している。四球2つ続き、満塁。ここで、大津は粘って最後、センターに抜けようかという当たりだったが、陽君がダッシュ良く処理。残念。
9回表は入野君。抜群の安定感。最後、レフトへのライナーはヒヤリとしたが、難なく幸四郎君が捌いて負けはなくなった。
9回裏、先頭の高田君の時、投手はへばっているように見えた。最後、インロー真っ直ぐが外れて四球。大島君でどうするかと思ったが、結局投手前にバント。小飛球となり、ワンバンだがセカンドはアウトだな、と思ったら、送球が思いっきりレフト側に逸れてショートがダイビングで押さえざるを得ずセーフ。続く近藤君。二球目、バントの時、見るからにガチガチ。バントは慣れがいるからなあ。結局、低めのフォークを追いかける形になって空振三振。こういうところで自分のプレーが出来るようになるには、自信を持てるまで練習するしかない。梶原君は外の球を読んでいたような素晴らしいスイングで、素晴らしい打球がセカンドやや右に飛び、ゲッツー。
お疲れ様でした。しかし、今年、こういう試合が結構ある。諦めないところを評価したい一方、サヨナラにまで持っていけない弱さも見なければならない。当たり前のプレーを当たり前に決める、これが一番難しいし、練習の時から実践を想定してシミュレーションしなくてはならない。マシンは打撃よりも、バント練習に使用したほうがいいと思う。

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