2009年8月23日(日曜日)
高知球場
晴、ちょっと舞っている風(向きが良く分からん)
高知ファイティングドッグス4−4愛媛マンダリンパイレーツ
1988年3月、新装なった京都西京極球場の?落としの巨人対ロッテの試合でロッテの先発に立ったのが伊良部さんだった。駒田さんにヒヤリとさせられる大きな当たりがあったが、確か無失点で切り抜けた記憶がある。マッチ棒のような体型から繰り出される速球は、切れ味を感じるも軽そうだった。それから、何度も関西パリーグの球場で見てきた。全盛期は、ヤリがマウンドから襲ってくるような、それはそれは恐ろしいボールであった。それに、強烈な高速フォーク。いやいやいや。読者の皆様のほうが詳しいだろう。
球場に向かう途中の車で、あるシーンが脳裏に浮かんだ。新人の伊良部さんがバナザード相手に真っ直ぐでドンドン押していく。カーブを投げる。狙いしましたようにトニー(バナザード)があの丸太ん棒のような腕を回転させる。大阪球場の中段に刺さる本塁打。あれからどれくらいの時間が経ったのか。思わず涙が出てきた。その時内野席から飛んだ野次が「伊良部〜、打たれて打たれて勉強せえ!」
今日の球場の香川や徳島の常連さんもいて、お祭りムードだった。やっぱり伊良部さんが来たのは非常にありがたいことだと思う。あと、愛媛の首脳、皆様そう思っているのね。そりゃそうか。おっくん。への手紙に書いたことと一致。
立ち上がりの伊良部さん、真っ直ぐは本当にボリューム感があった。ただ、変化球の切れがイマイチだったと思う。好打者檜垣君にゴロで一二塁間を抜かれる。ランナーが気になるご様子。どのように揺さぶったものだろうと思って見ていたが、投手からすれば非常に助かる判で押したようないつもの作戦。もう、諦めているのでこれ以上書かない。アウト一つをくれて伊良部さんは楽になったように見えた。変化球で空振は昔のように奪えないものの、低くボールを集めて後続を断つ。それにしても愛媛も成長している選手はしている。高田君、ほんの少し差し込まれたけど、あのボリューム感のある直球をあそこまで飛ばしたのは大したものだ。ちょっと風の向きが違えばスタンドインだった。また、少し甘く入った球を痛打した後安君はこれを自信にして良い。作陽高校の監督さんの教えを守ってこのまま伸びていって欲しい。安打のほかに四球を二つ選んだ檜垣君もお見事。梶原君も自分のバッティングで打点を稼いだ。自分たちのできることをキチンとすれば、伊良部さんと雖も決して打てないわけではないということが分かったと思う。
伊良部さんがNPBで長年投球出来てきたと思わせるものがあった。それは、リリースポイントが本当に前のほうで、疲れてきても球が余り上ずらなかったことだ。これは技術に属することである。他の選手に良い見本となると思う。
さて、伊良部さんがNPBに戻れるかというと、今のままでは正直厳しいのではないかと思う。真っ直ぐは合格点だけど、変化球の切れに課題が。あと、バント処理の時、動きが悪すぎた。特に、寺嶋君のバントはアウトに出来る打球だった。バント処理の重要さは釈迦に説法だ。あのプレーをみて思ったのは「まだまだ膝が回復していないから、体が切れないのかなあ」ということである。とはいえ、課題は10月のフェニックスリーグまでに解決すればいい。体の調子と相談しながらということになるだろう。
試合後、サインを頂いた時、爛々と輝く眼光を見た。巨人の星のあの眼だ。あの輝きがある限り、伊良部さんの挑戦は続き、そしてNPB復活が実現すると思う。

7