賛成派の意見をネットで見てみる。
http://www1.korea-np.co.jp/special/q-a/sinboj97061062.htm
http://blog.goo.ne.jp/gekkan-io/e/c49cc88a4a42f22dd7c0140ab61ebde2
法的根拠として出されるのは、私立学校振興助成法第16条、教育基本法3条になろうか。また、憲法26条も引き出されている。
個別に見ようか。私立学校振興助成法は、形式を見ている。教育内容については不問。
で。教育基本法第三条
第三条 国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。
憲法26条。
1.すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
2.すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
ここで、2.により、各種学校への補助が正当化される。
いずれにせよ、これだけを読めば「教育内容によらず、補助すべき」となる。その意味では、賛成派の論理は一貫している。
だがしかし。あらゆる法律には前提となる精神がある。ここでは教育基本法をいくつか紐解こう。
第一条 教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
第二条 教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
五 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
こうなると、教育の内容が問われることになろう。その眼で、手元にある『現代朝鮮歴史 高級1 ――朝鮮高級学校 教科書』(日本語訳)を見てみる。まずは金日成の祖国凱旋シーン。p9
愛国的な人士と人民は、平壌やソウルなどで「金日成将軍歓迎準備委員会」を結成し、敬愛する金日成主席様におかれては一日も早く祖国に凱旋なさり、朝鮮の進む道を明らかにしてくださるよう願った。
民主的な・・社会の形成者という教育基本法の理念と、この個人崇拝表現は一致するのだろうか? 以下、読めば分かるが金日成史観とでも言うべき「歴史」が展開している。次に、朝鮮戦争開戦。素朴な田舎者、フルシチョフの回想録をはじめとして、朝鮮戦争の開戦はスターリンの承認、毛沢東の黙認の下、北朝鮮の南侵により始まったというのが世界の歴史の評価である。だがしかし、『教科書』にはこう書いてある。p79。
米帝のそそのかしのもと、李承晩は1950年6月23日から38度線の共和国地域に集中的な砲射撃を加え、6月25日には全面戦争へと拡大した。
今や国際的に否定されている「歴史」を学ぶことは、他国を尊重することと一致するのだろうか?
なお、守る会代表の山田文明氏によると(『かるめぎ』No.99、p3)、2のほうには「大韓機爆破は韓国のでっち上げ」といい、「日本は拉致を利用して反朝鮮騒動を大々的に繰り広げている」と書いている。大韓機爆破についての記述は国際的に確定した事実と異なるし、反朝鮮騒動を日本国家が推進したという話は聞いたことがない。拉致問題の真相解明を求めているのなら、きいたことはある。
総じて、補助に賛成する意見は形式だけを見て、反対する意見は教育内容を見る。俺は、こういう人間だから、内容こそが大事だと考えるので、今は反対にくみするしかない。朝鮮学校が、日本国の教育基本法に一致するようになれば、当然補助すべきである。
なお、ここでは教育基本法の持つ問題点については触れない。これは別の話。
あと、本音では、日本社会が過去において、朝鮮総連などを味方に出来なかったという歴史が悲しいんだけどね。

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