『世界のエリートが学んでいる 哲学・宗教の授業』(佐藤優著、(聞き手:小峯隆生、PHP)
日本の大学にはエリート教育は総体として存在しない。一般教養や専門課程で断片的にはあるが、総体としては存在しない。小生はGHQの教育改革の結果だと思っているーーというのは、日本の属国化のために日本独特のエリート教育は邪魔になるからーー。
それはともかく。欧米ではエリート教育が存在する。自分で判断し、行動し、主体的に事態を引き受ける覚悟を受け入れるのがエリート。そのためには深い教養がなくてはならない。その教養は哲学と宗教の素養がなくては理解できない。そして哲学と宗教は彼らの共通語であり、それはキリスト教、ユダヤ教、ギリシャ哲学などに由来する。それは家庭、社会を背景に、学校では洗練された形で教えられる。
というのは、小生が以前から知っていること。この本はその「洗練された形」を示していると思う。なんだかんだ言って、アジア諸国ではなく欧米が世界を支配出来る原理をこの本から感じることが出来れば、と、思う。読むべきたった一つの講を挙げるとすれば「第13講 バチカンの世界戦略」である。彼らが数百年、いや、千年単位で世界を認識し、変えようとしているーー勿論この科学による変化の激しい社会で可能かどうかは分からないがーーことは知っておいていいだろう。

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