『ハーバードの日本人論』(佐藤智恵著、インタビュワー、中公新書ラクレ=658)
日本人は世界でもトップクラスで自国民論が好きらしい。ただ、この本を読んで、日本人が世界からこう見られているんだ、ということ以上に、自分は日本のことをまだまだ知らないと思った。
日本人はロボットを人間の延長のように捉えるが、それは西洋人にはない感覚らしい(cf.「フランケンシュタイン博士」)。伊藤若冲が描いた技法の極北は、細部にこだわる日本人の絵の結晶であるが、何故そうなのか。遺伝子解析で解明されていく大和民族。だが、縄文人はどこから?など解明すべきことはまだまだある。長寿の秘訣は大豆と魚と海藻。政治では世襲率が高いが、小選挙区制導入などで変わってきている。場を重んじ、周囲を気にする理由。トヨタ生産方式は日本の文化を背景にしているから簡単には「輸出」出来ない。実は宗教が血肉化しているからこそ、無宗教に見える日本。物語の結末が曖昧な日本の小説。

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