『内閣情報調査室 ――公安警察、公安調査庁との三つ巴の闘い』(今井良著、幻冬舎新書=553)
正直に思ったところから書くと、日本の自民党の別動隊じゃないの、この組織? 冒頭の北村滋氏の経歴、人選、組織の設立経緯、やってることなんかを読んでの感想。そして、結果が本当に出せるのか?と。
厳しい人選をして、資質に恵まれた人が携わる仕事なのは分かった。で、松本サリン事件で河野氏を誤認逮捕するレベルのインテリジェンスかよ。この事件では、前の会社に「サリンの原料」呼ばわりされた農薬があったんだが、報道から「そんなんできるはずないやん」と社内のケミストは異口同音に言っていた。そんなことさえ把握できないレベルが日本の国家中枢のためのインテリジェンス。警察(国家権力)は何か他の情報があるかも知れない、ということで緘口令が小生レベルまで敷かれたが、そんなものは何もなかったことは、今はだれでも知っている。
また、公安警察、公安調査庁(←設立経緯と時代の流れから破防法と一緒に解体すべきと小生は思う)との闘いは、無駄としか思えなかった。実にお役所仕事。こういうのは一つに統合すればいい。公安警察一本でええんちゃうのん。そして、政権交代して彼らが自民党以外のために仕事をする姿が想像できないね。じゃあ、まとめて廃止でもいいや。
とはいえ。どんな組織にも顕教(建前)と密教(本当に目指すところとか本音)はある。インテリジェンスは密教を成立させるために必要で、それがないと顕教も成立しない。国家が死滅するその日まで、こういうインテリジェンス機関は必要なのだろう。だが、政権交代したら思いっきり機能しなくなるね。野党は銃殺権限を持ったコミッサール(政治将校)を準備すべきだね。今の野党の権力に関するお花畑ぶりでは無理か。ともかく、地下鉄サリン事件を防遏する程度のインテリジェンスは持って欲しいものだ。

1