2005.1〜2006.5までの記録(2006.5以降はETAP2へ)
2005/12/23 0:27
朝までゆっくり寝られるはずだったので、6時ごろ勝手に目が覚めた。完全に習慣づいてしまったようだ。周りの人を起こさないように軽く周辺を片付けて部屋の外に出る。
周りには同じように起きてきた人が沢山いる。一息ついた後、洗面をして身づくろいをする。
今日については事前に調整をしておいた松山市内の運送店にトランザルプを預け、私は夕方の飛行機で東京に帰ることにしていた。
本当はゆっくりとツーリングがてら帰りたかったのだが、翌日が仕事のためやむをえない処置だった。
しばらくしてから朝食の準備が整ったようなので食事をしに行く。建物が昔の学校を改造して使っているため、なんか給食を食べているような感覚だった。
朝食後、Sさんと話をしていると、どうやら足の調子がかなり思わしくないようであった。見るとかなり腫れている。歩くのもかなり大変そうであり、素人目に見てもちょっと尋常じゃない状態である。
しかも、これからダカールで自走して横浜のほうまで帰る予定とのこと。
さすがにこれはまずい、と思い、航空券と輸送の手配を譲ることを提案してみたところ、快く了解してくれた。航空券を代金と引き換えに渡し、とりあえずこの問題については解決した。(後日Sさんは足の指を2本骨折していたことが判明)
急遽私が自走で帰ることになったのだが、その時はダッフルバッグにプロテクター類が入れられなかったので正直助かったと思っていた。この場所から千葉の自宅までは1000km位あるものの、一日500km程走っていたことを考えれば何の問題もない、という判断であった。
2005/11/6 9:09
トランザルプを置いて入り口を見てみると、オフィシャルが新しいコマ図を配っていた。早速もらって眺めてみると大三島のゴールからスタート地点までのコマ図であった。最後の最後までコマ図が楽しめることに気分をよくして自分の荷物を取りにいく。
後続が続々と到着する中で一番初めに自分の部屋に入って荷物を置く。そして明日の帰宅に備えて荷物の整理を一部始める。
そのうちS木さんらが到着したため、荷物の整理を一時やめて合流する。合流後、まずはビール、ということで宿泊場所の自販機においてビールを購入する。また、番頭其の壱さんにはガソリンのお礼ということで、ジュースをおごらせてもらう。ビールを飲みながら先日の雨で濡れたテントや小物類を干し、ラリー間の話に花を咲かせる。
昼間に酒を飲むのは数ヶ月ぶりだったのだが、変な酔い方もせずとても清清しかった。
宿泊地については、小学校を改修した宿泊施設で、何かの映画の撮影にも使われたらしい。映画関係の展示品コーナーが食堂に当たる場所の脇に設置されていた。
昔ながらの板が敷き詰められた廊下を歩いて風呂に行き、疲れと汚れを落とす。そして最終日用に温存していたTBIのポロシャツを着て周辺の写真を撮って回る。また、TBIのパーカーがまだ販売されていたので夜に備えて買っておいた。本当は初日に買おうと思っていたのだが、ダッフルバッグの重量の関係で諦めざる得なかったのだが何とか押えることができてホッとした。
2005/11/2 23:26
最終日も連日と変わらず携帯のバイブレーターで目が覚める。
起きて荷物の整理、食事をすばやく済ませてブリーフィングに臨む。
この生活が自分の生活に組み込まれて馴染んできたところでついに最終日となった。
今日については朝SSをやれば後はリエゾンのみとなる。
そうすれば遅着とならない限り順位に大きな影響はないので周囲のエントラントは風景を楽しみながら最後の一日をのんびりと行く計画のようであった。
が、私については一つの計画があった。
「最終日は1番に到着する。」
ということであった。
まわりがペースダウンをしていく以上、先日までのペースでこなしていけばゴールには間違いなく1番で到着できるはず。
ラリー前に調べた限りでは菅原さんはSSERのラリーでは最終日に1番でよく到着されているということもあり、これで私が最初に到着できればそれだけでも菅原さんに勝った、ということになりいい記念になるのではないか?という非常に小さな野望も含まれていた。
2005/10/2 21:37
自分には時間がないことを思い知らされながら先を急ぐ。
スタートが30分遅れたため、CP1開設時間についても30分延長されている。
しかし、それでも時間は全然足りない。
これまでのリエゾンであれば舗装路は多少は周りの景色を楽しみながら進んでいたものの、今回についてはその分を全て前に進むことに配分して先を進む。
途中、高松空港とおぼしき場所の横を通過する。が、そんなことを確認することもできずフェンスの横の道を走り続けていくのみ。
出きるだけ急げるところは急がなければいけない。が、事故を起こしたり、交通違反で捕まったりしては何の意味もない。
信号待ちでイライラしつつもそこだけは自分の中でしっかりと線引きをした。
そして50kmを過ぎたあたりで大きな寺が見えた。
「時間に余裕があればのんびり眺めながら通行したいなぁ。」と思いつつ脇を見たところSSERの旗が見えた。
間に合った。
時計を見るとCP閉鎖5分前。
カードにスタンプをもらい、一息つき、再スタートをする。
これでまた朝にやったような不注意を犯さなければ遅れることはないはずだ。ここからはいつも通りの無理のないライディングで先に進む。
そして本日2回目のSS。
身体も段々慣れてきたようで、初日よりもはるかに早く進むことができた。自分の中でも少し攻めの気持ちが生まれる。しかし相変わらず後続に抜かれるのは変わらない。
SSが終わって林道を下っているとGASGASに乗った人がエンジンを切って惰性でバイクに乗って下っていた。
「トラブルか?」と思い声をかけたところ、どうやらガス欠の上にリアがパンクしたとのことであった。2日目に番頭さんに助けてもらったことを思い出し、次は自分の番と思いガソリン提供を申し出る。燃料コックからシグボトルにガソリンを注ごうと思ったもののホースが外れなかったため、GASGASの人が持っていた灯油ポンプを使いガソリンを注ぎいれることとなる。相手は違うものの借りを返したような気分となる。
その後は特に何もなく無事本日のビバーク地に到着。
まずはテントの場所を確保し、荷物の整理、食事の順となる。
食後、チェーンに給油をしに行くと、GASGASの人が横でタイヤ交換をしておりガソリンのお礼を言われがてら話をした。そこでその人が昔ドミネーターに乗っていた時、単独で林道に行ったときにひっくり返って足を挟まれたことがあった。周りを見ても誰もいなかったので結局、足を抜くために手で地面を掘って車体から足を抜いた、という話を聞き、他人事とは思えず戦慄を覚える。
整備が終わり、テントに戻ったついでに風呂に向かう。
ラリーが始まって初めての入浴となった。これまで通った道には温泉が何箇所かあり、慣れた人は途中で止まって入浴していたようだが私には余裕がなかったため入ることが出来なかった。
風呂については4人で一杯となってしまうため、一人出るたびに窓から顔を出して「空きましたよ〜」と一声かけるのが知らないうちに定着する。
私の番がきて久しぶりの入浴になる。風呂に入りながらもし再度TBIに参加する機会があったら絶対途中で温泉に入ろうと心に誓う。
風呂から出て私も窓から一声かけて外に出る。
そしてテントに戻り、荷物の整理と明日の準備をし、就寝の態勢をとる。
明日でラリーは終わる。今日の失敗を繰り返すことなく初日と変わらない走りをしよう。
2005/9/14 13:44
携帯のバイブレータでまた目が覚める。5日も続けると日常の出来事のように感じる。
昨晩いつのまにやら軽く右足首を捻っていたようで違和感を感じる。
朝食後、テントを撤収しSSの準備に移る。
最初のSSは昨晩苦しめられた美馬のコース。
しかし、明るい上に昨晩一度走ったこともありそれほど心配はしていなかった。
路面を確認したところ、ちょうど良い感じに乾いてもいる。
全景を見回しているうちに、一箇所人が集まっている場所があった。
そこに行ってみると、眼下には壁のような傾斜のきつい坂。
どうやら、ここを登らなければいけないらしい。(後にここは誰からともなく「山田坂」と命名される。)
これまでに経験したことのない斜度だけにどうアプローチをすべきか悩む。
他のエントラントがアプローチについて話をしているのに混ざり、少しでもヒントが得られないか情報収集をする。
結局、私はアフリカツインで参加された方の意見を参考にすることとした。が、その方と私の技量は天と地の差がある。これはついにロープの出番か?と覚悟を決める。
ブリーフィングが始まり、山田さんから昨晩のSSは印象が薄い(?!)と言った様なことを話していた方がいたとのことであり、今回のSSについては忘れられないようなものに作り替えるという話があった。
そして、コース設計を任された池町さんの話によると、美馬のコースは全体のごく一部、その奥にあるシングルトラックが今回のメインとのことであった。
しかも、倒木越えなんかがあったりするらしい。今回については難所にはオフィシャルがいるので一人では無理でも何とかはなるとのことであった。
それを聞いて安心はしたものの不安は変わらず。
とりあえずスタートが遅いので、先発組の走りを見て参考にすることとした。
先発組がスタートした。恐ろしい勢いでコースを駆け抜けていく。
上位10数名については安定した走りを続けていく。
山田坂についても普通に登りあがっていく。しかし、シェルパに乗ったエントラントが坂を駆け上がったときに事件は起こった。
勢いがつき過ぎ、バイクが坂を上がりきった瞬間垂直に上がっていく。バイクについてはストップランプから着地、ライダーについてはバイクから振り落とされ、山田坂を転げ落ちていく。
坂の下まで落ちきった後、すぐに立ち上がり見学のエントラントに手を振ってアピール。周りから大拍手があがる。
私はそれを見た後、バイクの位置に戻りスタート準備を始める。
スタート。
最初に宙吊りになった坂を降りる途中、hamacさんがGSと一緒に脇で止まっているのが見えた。特に問題はなさそうだったのでそのまま下る。
そして、順調にコースを走っていくと、目の前に急角度で下る坂が見えた。坂の手前でムラカミさんが止まっていたが行く気配がないので先に行かせてもらうことにする。
アンダーガードをこすりながら1速で進入。
しかし、途中でエンストしてしまい、バイクをひっくり返しながら下に落ちる。
この状態で降りてこられると大変なことになるので上にいるムラカミさんに転倒した旨を伝えて待ってもらう。
バイクの引き起こしについては昨晩散々やったため、スムーズに起こせた。とりあえずバイクを脇に寄せて安全になったことを伝える。
伝わったことを確認してから再スタート。
昨晩一回で登れなかった坂に接近。何の問題もなく普通に登る。
が、坂直後の轍にフロントを取られ転倒しそうになる。
とっさに左足で地面を蹴り、態勢を立て直す。
そして、山田坂。
見ると、上で見ているエントラントがやたら左側を指差す。
よく見るとコーステープを巻いてある重しが動かされていて、左側に緩めのアプローチルートが出来上がっている。
普通に登っていてもいけそうな気がしたものの、無理をせずここについては勧めに従う。
登りきった後、シングルトラックに進入していく。
場所により2輪2足で進入していくと、目の前に斜めに倒れている倒木がある。そのままではウインドシールドに引っかかるため車体を斜めにしながら慎重にくぐる。その先を行くとさらに低い倒木が現れる。
これについてはバイクをひっくり返してしまい、後続の車両に助けてもらいながら何とかくぐる。
そこからさらに丸太越え。
1個目についてはオフィシャルの協力により何とか突破。
2個目に付いては完全にスタックしてしまった。仕方がないのでスタンド無しで直立するトランザルプをそのままにして少し休憩する。
休憩後再度チャレンジしているうちにもう1人オフィシャルが降りてきて、3人がかりで越えることができた。
難関を突破し、あとはSSのゴールのみ、と思って進んでいくと今度は緩いS字状の登りがあり、渋滞が発生していた。
どうやら250クラスでも登りきれないような厄介な坂らしい。
待っていると、坂の上から640アドベンチャーに乗った池町さんが降りてきて目の前でアクセルターンをかまして車体を置いた。途中でスタックしたようだ。
ライダーについては上から降りてきてそれに跨り、再チャレンジをして登りきって行った。
その際、池町さんから空気圧を0.5まで落とすように指示を受けた。待っていると後ろからムラカミさんのGSがやってきた。
池町さんが「GS行くよ〜」と上にいるオフィシャルに声をかけてムラカミさんは一気に登っていった。
次は私の番。
「GSでいけるならトランザルプでも行ける!」
と自己暗示をかけ、ルートを再確認した後アプローチを開始する。
落とした空気圧が功を奏したか、特に問題もなく一回で登りきる。
その後は特に何もなくスムーズに進み、無事SSのゴールに到着した。
ゴールでは空気圧を落としたタイヤに空気を入れている人が多数いたものの、このままいけると判断し、とりあえず荷物を取りに昨晩と同じルートでコースの入り口に戻る。
が、やはり空気圧0.5では無理があり、景色のよいところで脇によせ、携帯ポンプで空気を入れることとした。
しばらく頑張っていると640アドベンチャーの人(SAイトーさん)が上から降りてきてコースの入り口について尋ねてきた。思ったよりも上にあることを伝えると、颯爽と走り去っていった。
携帯ポンプでの地味な作業も何とか終わり、コースの入り口に向けて再出発をする。
到着するとないとーさんが待ってくれており、S田さんの到着を待ちながら色々と話をする。そのうちS田さんや950アドベンチャーに乗っている彷徨える三重県民さんがやってきたので、そこで話をしたり記念撮影をしたりして楽しむ。
そのうち遠くからこちらを見ている山田さんの視線がどうも気になる。
が、その時は難所を越えたということでテンションが上がりその理由については考えもしなかった。
そろそろ潮時と思い、ないとーさん、S田さん、三重県民さんに先に行く旨を伝え美馬を離れる。
コマ図を見ながら5分ほど走っていくうちに、CP1の開設時間を急に思い出した。
このままのんびり行くと、間違いなくCP不通過になる。
山田さんのサングラス越しの視線の意味が分かった。
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