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2016/2/1

『わがはいは 猫である』 前編  文学

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『わがはいは 猫である』  ― 前編 ―

《いとう 文龍 13歳の創作小説》



私は、ひげをひっぱられて、目が覚めた。

私は猫であるが、どこかの模倣小説のように、自分で吾輩とは言わない。

さて、私の前には、若いサラリーマンらしい男が、ソファに深々と腰かけて、こちらを見ながら笑っている。

猫の一番大事な処をひっぱられたので、少し腹が立ったが、主人の大事な客らしいので、ぐっと我慢した。


この部屋には、彼が一人しかいない。

彼がいる部屋は、主人の書斎兼応接室となっている。

部屋の中央には、テーブルが一つ、長いソファーが一つ、そして小さいソファーが二つある。

私は、その長いソファーに長々と寝そべっていたが、その客は大胆にも、私専用の長いソファーに、私と並んで座っている。

いい度胸をしているものだと感心する。


このソファーの正面には、部屋の扉が見え、その横にクーラーが涼しい風を送り出している。

扉を挟んで、その反対側には、絵が掛けてある。

私はいまだかつてこれが何の絵であるか、判断がつかない。

サバのようでもあるし、サンマのようでもある。

あるいは、これが話に聞いたクジラというものかもしれない。

とにかく、へんてこな絵であると共に、私の経験にも限界があると気がめいるばかりである。

主人が何処にも連れて行ってくれないし。


このソファーの後ろには、主人の机がある。

この机は、どうしたことか、足が三本しかない。

主人談によると、これはハエをたたこうと思って、角材を振り回していて、それに当たって、折れたのだそうである。


ハエをたたくのに角材がいるか? と、今でも不思議に思っている。

どうせ、夫婦喧嘩でもして、折ったものだろうと想像する。

その机の上には、本がたくさん置いてあるが、これは横文字ばかりで、私には読めない。

主人は英文学者であるが、猫の私に教育をするのを忘れてしまったのである。


そして、同じ机の上に花瓶が置いてある。

その中には二種類ほど、花が生けてある。

晩秋にしては、美しい色合いの花である。

赤、黄色、そして葉の緑、何処かで見た配色であるが、花の原色と、葉の緑が対比して鮮やかである。


その時、急に扉が開いて、主人が入ってきた。


―― 前編おわり ――   後編につづく・・・


                 筆者  いとう 文龍
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