1996年8月、写真家星野道夫が亡くなった。今年は没後10年にあたり、様々な催しが開かれている。
去る者日々に疎し・・彼ほどこの言葉に当たらない人は珍しい。彼の残した写真と言葉は、今なお我々の前で光り輝いている。
私は、彼と同じ大学で、ほぼ同じ時期に数年を過ごした。文学志向だった私は、彼のような行動的な大学時代を送らず、彼とは友達になることもなかった。同じ場所ですれ違ったかも知れない星野さんと、一度くらい言葉を交わしたかったと、今になってみれば残念に思う。
後年、私が写真を撮るようになったのは、いくらか彼の影響もあったように思える。もちろん、彼の写真は好きだが、彼の残したエッセイに残された言葉には、映像以上に心が動かされた。
幾つもの彼の印象的な言葉の中で、此処に一つだけ私がいつも心にとめている彼の言葉を掲げる。
−人は誰も、それぞれの光を探し求める、長い旅の途上なのだ−

2