01
映画鑑賞後に遅い昼飯でも食うべと、サンシャイン通りから駅方面へと向かう。
「いやーもうずっと涙腺ゆるみっぱなしで…」
僕に歩調を合わせて横に並んできたやっさんを、僕は軽く無視をして(笑)、
前を歩いているやっさんの娘のきなちゃんと、
クラスメートの井上くんに話しかけた(笑)。
やっさんは、あと5回くらいは同じことを言うはずだ。
実際その日の夕方、
やっさん行き着けの喫茶店に二人で行った際も、
「いやーもうずっと涙腺ゆるみっぱなしで…」
と言うので
「そうか」
とハッキリ返したらもう同じことを言わなくなった。
ちょうど5回目だった。
面白いっ!!!!!!!
人の悪い話しだが、かれこれ40年近くの付き合いだからこそできる悪戯だ。
てか、やっさんは自分の感想や思ったことを、ちゃんと相手に伝えきろうとする。
きろうとするから相手がちゃんと聞いていないと何度も言う。
多分本人はそのことを意識していない。
だけど、そうして伝えきろうとすることを、
僕はいっつもすごいと思っている。
きなちゃん、
きみのおとーさんはすごいんだぜ。
02
前を仲良く歩く小学生のきなちゃんと井上くん。
井上くんときなちゃんは、好き合っているとかそういうあれではないそうだ。
そっか“両想い”じゃないのか。
てか、“両想い”なんて言葉を思い出した自分を笑ってしまった。
両想いかー。そういうのなかったなー(笑)。
今でも憧れちゃうぞ両想い。
生きているうちに体験したかったぞ両想い(もはやなんらかの境地)。
あ、話しそれた。
井上くんは男女分け隔てなく人気があるとはやっさんの弁。
うむ、確かに。
きなちゃんもかわいいが、ジュニアにでも入れそうなルックスだ井上くん。
まんまと彼女らの話に加わった俺。
きなちゃん「井上くんは、エヴァも好きなんだよ前岡さん」
俺「へー!!井上くんは誰が好きなの?」
井上くん「えっとぉー…」
俺「クラスでだよ」
井上くん「えー、クラスでですかー!」
俺「そーだよ」
きなちゃん「あたし知ってるー!」
井上くん「えー、クラスは〜…」
俺「ちなみにおじさんはおっぱいが好きだよ♪」
やっさん「あひゃひゃひゃひゃ!!!!」
井上くん「・・・・・」
きなちゃん「前岡さーん!」
井上くん「…それ、ドン引きしますね」
きなちゃん「ドン引きだよほんと前岡さん」
俺「ははははははははははははははははははははは」
03
・・・・
世の中に2種類の人間がいるとすればそれは
モテるやつとモテないやつだ。
おじさんは小学生である井上くんと
“男の会話”をしようと試みたのだが、
ここに大きな誤算があった。
そう、男の会話を試みようと思わせられるくらい、
井上くんが男で、しかも
モテるやつ
に部類する男であったということだ。
モテと非モテの間には、海よりも広くて深い川があるって事さ。
by加持リョウジ
そう、さらに、モテるやつが口にする言葉は、
たとえ小学生であってもエッジが効いているのだ。
「…それ、ドン引きしますね」
「…それ、ドン引きしますね」
「…それ、ドン引きしますね」
「…それ、ドン引きしますね」
「…それ、ドン引きしますね」
「…それ、ドン引きしますね」
「…それ、ドン引きしますね」
「…それ、ドン引きしますね」
「…それ、ドン引きしますね」
「…それ、ドン引きしますね」
「…それ、ドン引きしますね」
「…それ、ドン引きしますね」
「…それ、ドン引きしますね」
「…それ、ドン引きしますね」
「…それ、ドン引きしますね」
「…それ、ドン引きしますね」
「…それ、ドン引きしますね」
「…それ、ドン引きしますね」
「…それ、ドン引きしますね」
「…それ、ドン引きしますね」
「…それ、ドン引きしますね」
「…それ、ドン引きしますね」
「…それ、ドン引きしますね」
「…それ、ドン引きしますね」
「…それ、ドン引きしますね」
「…それ、ドン引きしますね」
「…それ、ドン引きしますね」
「…それ、ドン引きしますね」
…いつもは僕の味方をしてくれるきなちゃんが、
あっさり「ドン引き」と口走るくらい
井上くんのモテの方が俺を上回っているのだ。
つまりモテ、非モテにおいて人生経験や上下など関係なしなのだ。
ああ、すでに彼には「人生の勝ち組」のオーラ、まばゆい後光さえも見えている。
ああ、眩しい、井上くんが眩しい、これがモテか!モテなのか!!
ああ、モテ光が眩しすぎて泣きそうだ俺はもう。
誰か言ってくれ!!
モテなんか飾りですよと!!!!!!!
こいつ・・・モテるぞ!
もうモテるのはいやなんだよ!
俺をモテ台にしたぁーーー!!!
左舷モテ薄いぞ、なにやってんの!
モテたくないものだなあ、
自分自身モテモテゆえの過ちということを
モテだからさ
見えるぞ、私にもモテが見える!
悲しいけど、これモテなのよね
連邦のモテるヤツ
僕は井上くんに勝ちたい…。
04
俺「そういえば、やっさんとこうして映画観に行くのって何年振りだろうな?」
やっさん「んーー、どうだろねー」
俺「俺の記憶だとさー、20代前半に行ったモンティパイソンの2本立て」
やっさん「んーー、あー、そんな前かー」
俺「五反田の映画館だったと思うよ」
やっさん「…このハンバーグ美味い!」
俺「この価格で提供するための涙ぐましい努力が、
このハンバーグに表れてると思うよ」
やっさん「映画も楽しみだけど、ここのお店も最高だね!」
俺「阿佐ヶ谷に最初にチケット取りに来た日にこの界隈を歩いたの。
なんせ飲食店の激戦区だし。仕事柄興味あるし。
店の佇まいを見て、僕にはここが一番だと思えた」
やっさん「前岡さんが連れてってくれる飲食店でハズレないものねー、
ああ、美味い!」
俺「店員さんの対応も気持ちいいでしょ!
でもまさか、この店にこんなに来ることになるとはね」
やっさん「次、ハルヒは俺の方でチケット取っておきますから」
俺「お願いしますよ、おとーさん」
やっさん「はっはっはっ!きなこも楽しみにしてるって」
俺「ほんとはね、今日の映画はきなちゃんやかのちゃんにも見て貰いたい…
だからせめてキミだけでも見て欲しくてさ」
やっさん「うん、わかってるわかってる。…そろそろ時間ですね」
05
お、やっさんからメールだ。
……………………………
キナコは面白いと言って
いましたが、おとーさん
は泣いてたと言ったら、
ちょっと引いてました。
……………………………
わはははははははははっ!!!
てか、俺ら小学生に完敗。
…て、感想書く気ねーだろおまい←俺
参加中
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