交差点の歩道脇、信号待ちで停まっていると、
つかつかとひとりの男が近寄って来るのに気がついた。
歩の方向からして、僕に向かって来ているのは間違いなかった。
「そのじてんしゃは、おぬしのものか。」
いきなりの侍言葉だった。
そりゃあーた、今こうして跨って信号待ちしてんだから、
俺のですよぅ〜愚問ですよぅ〜と、
口をとがらせて返しそうになるのを堪えた。
そうだ、ここで舐められたり、見下されてはいけない。
(いや、もう十分見下されてるし、舐められてるぞ。気付けよ俺)
「いかにも。拙者の命でござる。」
と、ちょいケンドー小林のバリトン風の声で威圧してみた。
すると、
「これはしたり。しっけいであった。」
俺の顔を下から覗き込むようにし、その男はくるりと踵を返した。
背中のランドセルが大きく揺れた。
…先日、小学生のもものふに遭遇した時の話だ。
できる!やつは相当できる!!
俺らおっさんをおびやかしそうなヤツは、
早めに始末しといた方がいい(腐れ外道)。
よし、今度出会ったら、後ろからバッサリ斬ってやろう!!(ド卑怯)
…あながち本気でそう思わせた、戦慄の体験だったでござる。
これ、小学生の時に欲しかったでござる。
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