13歳のアメフト選手チェースが屋根から落ちて記憶喪失になり、「本物の自分探し」をしていく物語。
自分の顔さえわからない。家族も学校の友人も分からない。ただ救いがあるのは生活の習慣、言葉がわかることだ。そして、もう一つの記憶が白いドレスを着た4歳くらいの女の子だった。意味深で、読者が忘れたころに何者か知らされる。重要な記憶なのだ。
記憶が無くなると無防備になる。女の子に突然フローズン・ヨーグルトをあびせられる。それもチェースの過去がもたらした一つの出来事に一因がある。なくした13年の記憶はどれほどすごいものか、まずはそれを知ることから衝撃的なリスタートが始まる。
チェースのリスタートは、笑うしかないほど悲しいこと、おかしくて涙がでるほど笑える話の展開が待っていた。仲間たちの証言から見えてくるあからさまなチェースの過去。過去のチェースではありえないオタクの集まりといわれているビデオ部への入部で「展開」は早まる。
チェースは徐々に過去の自分を知って行くが、あまりにもとんでもない生き方をしてきたか、その罪を償うかのように、ワル仲間から離れた生活をしていた。実際は思い出せないだけなのだが……。しかし、外れた仲間との決着をつけねばならないときがくる。以前の罰で奉仕活動をさせられているが、今度は少年刑務所送りになるほどの騒ぎを起こした。そして、審判のとき――。
チェースは過去を探るが、探る必要の無い多くの少年たち、そして大人たち、老人たちは、どうして「今の生き方」を生きているかを知らないままなのかもしれない。過去の気づかない罪を思い出すことはないだろう。また、チェースが何も考えずにさまざまな罪を犯してきたようなことも、私たちに何かを考えさせる。考えないことは、考えなくてもすむように、立ち止まって考えることがないように生きさせられてきたのではないのか・・・そんなことが脳裏をよぎった一冊だった。
絵本の河さま
天気、どうなっているのでしょうね。暑すぎて、部屋を冷やしても何もできません。可能なのは若い人たちでしょうね。女性教師さまによろしくお伝えください。楽しみにしています、と。
創作日誌
昨日、メモが出てきて、こんなじいさんもいたなあと笑ってしまった。バスに乗ると一番前の一人だけの席に座る。前面と運転手と、乗客の動作を観察できるのだ。そのおじいさん、小銭が無くて、両替しようと料金箱わきの両替機にお金を入れようとした。あわてて止める運転手。おじいさんが入れようとしたのは10円玉だった。
日曜日に仙台のお土産品売り場で、百円玉の代わりに一円玉を出して丁重に注意された。おじいさんはいろいろ見えなくなるんですねえ。
今日はお仕事の前に終えねばならない仕事を2作。今週中にテキストを終えたいものだ。

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