またリメイクですか。ジャック・フィニィの「盗まれた街」の4度目の映画化。アベル・フェラーラの93年版は観てませんが、原作を読んで最初のドン・シーゲル版を観たら、それでもう十分って感じですな。78年版は、SFXとしての見せ場と、フィリップ・カウフマン・テイストとも言える“ヘンな人たち”の描写が面白かったですが、さて今回のリ・リ・リメイクはというと…。
それまでの作品の(原作も含め)侵略の過程を、ポッド=鞘から新種のウィルスに設定変更したのが新味ですかな。それを解明するのに、主人公の医者仲間が活躍するというのも納得出来る展開にはなっていたのですが、いかんせん、解明の過程が省略され過ぎ。本当にあの程度のヒントだけで、正体を探って対抗策を捻り出せるものなのかどうか。それと、主人公のニコール・キッドマンの行動に焦点を絞りすぎているので、せっかく世界的レベルの侵略事件として描かれているのに、そこまでのスケールが感じられなかったのも残念ですな。
そして…
−−△▲□■以下、ネタバレがあります▽▼※×−−
そしてこれが最大の問題なんですが、最後がアレヨアレヨという間に事件が解決されてしまう事。そもそも今回は、ウィルスとしての扱いなので、ワクチンさえ作られればそれで犠牲者を救えるという設定になっているのが「何だかなぁ〜」という感じで、アッという間にハッピーエンドになってしまうのには、脱力感さえ沸きましたな。確かにシーゲル版も、ハッピーエンドを匂わせるラストにはなっていましたが(2号プリントから追加されたとか)、全体に漂う異様な孤独感と悲壮感は十分に感じられ、78年版にもそれは受け継がれていた事を思うと、今回のは、あまりに安易にハッピーエンドに持って行き過ぎているのではないかと思ってしまいましたな。あと、キモになっている“寝る事”の恐怖に対しても、イマイチ恐怖感が感じれなかったし、主人公の子供がウィルスに感染しない特異体質になっている事の超偶然(!)も含め、ご都合主義が目立つ安上がりなリメイクになっていて残念でした。 (★★)
The Invasion
テクニカラー/アリフレックス&パナヴィジョン(カメラ&レンズ)=1.85/ドルビー/DTS/SDDS/99'07"
●なんばパークスシネマ・シアター11/先売りネット券(¥1200)/ガラガラ(20:45からのレイトショー)

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