まるで70年代の映画を観ているような、そんな錯覚に陥った作品でした。いわば、“セルピコ刑事VSフレンチ・コネクション”みたいな、そんな感じ。犯人逮捕に執念を燃やす熱血刑事と、街を牛耳る犯罪の帝王との丁々発止の攻防戦…という、使い古されたパターンでありながらも、どちらも人間性豊かなキャラクターとして描かれているものだから、どちらに肩入れするでもなく、冷静な目でその戦いぶりを眺められるという辺りが、ある種ドキュメンタリー・タッチというか、絵空事ではないリアリティに満ちている感じに思えるのは、やはり実話の重みでしょうかねぇ。
かといって『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』みたいに、両者の破滅的な戦いになるかと思っていた所、そうなっていなかったのは意外と言えば意外で、もっと燃えるような戦いだと思っていたら、最後は呆気ないというか、凄くアットホームなムードになっていたのは、これはドキュメント・タッチ故というか、実話って案外こんな感じだからですかな。徹底的な悪役だと思っていたデンゼル・ワシントンが、最後は“良い人”になっちゃってるのは、それでイイのか…って思ってしまいましたが、まぁ、それでイイんでしょうねぇ。
劇中、『フレンチ・コネクション』のエピソードが出て来たりして、その後日談というか、『フレンチ・コネクション1.5』みたいに思えたのは面白かったし、ラストのデンゼル・ワシントンの謎の一発は、『フレコネ』のラストのポパイ刑事の一発を意識したものだったんですかねぇ。(★★★★)
American Gangster
テクニカラー/1.85/ドルビー・デジタル/DTS/SDDS/159'10"
●ホクテンザ2/チケット屋券(\650)/ガラガラ(20:00からの4回目)

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