あの半村良原作、角川映画のヒット作で、海外ではソニー千葉主演の“GIサムライ”として評判の『戦国自衛隊』を大胆にもリメイク。元々は続編企画から始まったものが、こうして21世紀の今、タイムスリップしたかの如く登場したのでありました。
今一番乗っている作家・福井晴敏の原作(半村良版からインスパイアしたもの)というのも、期待させるに十分なファクターではあるのですが、やはりリメイク作品の宿命として、どうしても前作(オリジナル版)と比較してしまうのはしょうがないですな、ホント。
で、ナンか、ダメですな。前作も決して傑作とは言い難い作品ではあったのですが、前作は青春映画としてのラップで包んであっただけに、そういう意味では楽しめる映画(色々穴だらけではありましたが…)になっていたのに比べ、こちらは、もっと穴だらけ!
大体、織田信長になりすました鹿賀丈史のキャラが中途半端。彼を悪として描くならば、例えば『地獄の黙示録』のカーツ大佐のような、ああいう狂ったキャラクターに仕立て上げてしまわないと、抹殺する意味ナシだと思うし、逆に、歴史を変えるヒーローとして描くならば、もっと魅力的なキャラクターにしないと、誰も感情移入出来ないというもの。
現地人と接触してはならぬというお達しも、既に2年間、先発隊が接触しまくっている訳だから、ナンの意味も無いと思う訳で、後発隊の意思・動機も、イマイチ納得出来かねるものがありますな。
それと、前作にリスペクトする精神が全く無いのも困りもので、角川映画特有のお遊び的シーンが皆無なのも寂しいというか、つまらないというか…。結局、“戦国自衛隊”というオモチャを使って戦争ごっこをやってみたかっただけという企画になっちゃってるのが惜しいですな。ま、つまらないゴジラ映画を連発していた監督に文句を言うのも筋が違うんでしょうけど。 (★1/2)
【カラー/1.85/ドルビー/117'59"】
●ナビオTOHOプレックス・シアター3/ほぼ満席/当日券(\1200)/20:40からのレイトショー

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