チャウ・シン・チー版『E.T.』。簡単に言ってしまえばそういう事になるんでしょうけど、視点がいかにもシンチーらしいものが感じられて、単なるバッタもんE.T.で終わることなく、なかなかユニークな一編に仕上がっていました。
気軽に笑えるギャグやパロディも上手くブレンドされていて、シンチー親子の生活描写が興味深く、単純な話であるにも関わらず飽きさせない展開になっていたのは、やはりシンチー監督の演出が冴えているからでしょうね。それになんたって、ナナちゃんのカワイイ事。これに尽きますな。
不覚にも3度ほど泣いてしまったぐらいの感動作で、こういう映画はやはり、1年に1本か2本は観ておかないと、殺伐とした現代の世の中を生きて行く事は出来ませんな。ガキ共の友情溢れるシーンなんかも、ベタではありますが、最近の子供たちには見られないイイ話で、泣かされてしまいました。
○△□×…以下、ちょっとネタばれがあります…×■▲◎
ただ、一つだけ難を言えば、ナナちゃんが何故あそこまでシンチー親子に尽くしてくれたのか…という疑問ですな。「鶴の恩返し」じゃないですが、何かその理由が欲しかったと思いました。あれ、貧乏なシンチー親子ではなくて、もし凄い悪人なんかに捕らわれたらどうなっていたのかと考えたりもしましたね。あと、死んだ筈のシンチーが生き返った事に関して、ほとんどスルー扱いだったのも「?」と思いました。あまりにもナナちゃんが不憫で。でもこれは、“観客だけが知っている”という、演出というか、最初からの狙いだったのかも知れませんな。だからこそ、ラスト・シーンが活きてくるものなんですな。ベタですが、あのラストも気に入りました。アレがあるから、今後もDVDで何度でも観てしまいそうです。 (★★★★)
長江7號 CJ7
カラー/2.35/ドルビー・デジタル/86'18"/日本語吹替え版
●なんばパークスシネマ・シアター4/タダ券/ガラガラ(10:15からの1回目)

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