新シリーズの第2弾。前シリーズは、まだアメコミ特有のファンタジー色を残していましたが、前作の『バットマン ビギンズ』から、どちらかというとリアリティ重視の作風になって、今回はさらにその傾向が強くなりましたね。なので、アメコミの映画化というより、リアルな刑事&犯罪ドラマを観ているような、そんな錯覚に囚われました。
決して犯罪者を殺さないバットマンの流儀に対して、人を、それこそ虫けらのように殺しまくるジョーカーのやり方が、両者の置かれた立場を反映していて、その対比が実に見事。リアル・ヒーローの限界に苦悩する主人公=バットマンの悩む姿は、ティム・バートン版の“人と違っている事に対する悲しみ”を抱くバットマン像をさらにダークにした感じで、この方向性は間違っていないように思いますな。つきつめれば、凶悪犯罪者に対する捜査陣のあり方として、この苦悩はリアル過ぎる程リアルで、全く持ってこの映画、犯罪ドラマとして重厚な趣さえ感じられますな。
ブルース・ウェインがドンだけ金持ちやねんという突っ込みさえも消えてしまうぐらいのダークな展開が魅力のこの新シリーズ、今後の展開に目が離せなませんな。願わくば今後もこのレベルをずっと持続し続けて欲しいものです。 (★★★★1/2)
Dark Knight
テクニカラー・プリント/パナヴィジョン(カメラ&レンズ)=2.35/ドルビー・デジタル/DTS/SDDS/151'03"
●なんばパークスシネマ・シアター7/ネット先売券(¥1200)/約1/4(10:00からの1回目)

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