サム・ライミ監督久々のホラー映画。『キング・コング』のピーター・ジャクソンもそうだったけど、ゲテモノ映画で名を馳せた監督が別ジャンルの大作を撮るようになり、ひと段落ついたところで、またゲテモノ系に戻ってくるのは、昔からのファンにとってはありがたい事ですな。ライミの場合、『スパイダーマン』の前に『ダークマン』があっただけに、“スパイダーマン・シリーズ”はある意味延長線上的な感覚ではあった訳ですが、それでも原点回帰ともいえる今回の新作、「お帰り!」とでも言ってあげたいような、そんな内容に仕上がってましたな。
それにしてもライミ監督、デビュー作の『死霊のはらわた』と全然変わっていないというか、ほとんど同じ事をやってのけているのに感動を覚えましたね。これって、舞台設定や人物設定は違うけど、『死霊のはらわた』と全く同じ展開&パターンですな。ひょんな事から(ちょっとした悪戯心から…ちょっとした出世欲から…)、踏み込んでしまったオカルトの世界。悪霊にとりつかれて、惑わされて、悲惨な事態を招き入れてしまうという恐怖の体験。で、勇猛果敢にもその悪霊に挑み、命を懸けて戦った結果、やっと助かったと思ったら…。全くもってまんま『死霊のはらわた』ですな。観終わった後、この変わっていないライミの姿勢に嬉しい悲鳴を上げたものです。
やっぱりライミ監督にはホラー映画がよく似合いますな。こういった世界の方が観ている方もシックリ来ますな。妙に心が落ち着くというか、居心地がイイというか。“やはり野におけ、サム・ライミ”!”と大声で叫びたい衝動に駆られました。今後も、ずっとこの路線で突っ走って欲しいものですな。(★★★★)
Drag Me To Hell
カラー/パナヴィジョン(カメラ&レンズ)=2.35/ドルビー・デジタル/DTS/SDDS/98'41"
●TOHOシネマズ梅田・シアター10/ネット先売券(¥1000)/ほぼ満席(11:30からの1回目)

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