2008/3/29

銀沖祭提出用作品「赤いスカーフ」  銀魂SS

2時間で一気に書き上げました;;;中身ごちゃごちゃかもですが、ずっと書きたかったネタで書いたので楽しかったです!!

ではでは、本編は続きからどうぞ!!


赤いスカーフ


隊服のズボンのポケットに手をつっこみ、大通りを歩いていく。
いつもは警邏くらいでしか通らない道だが、今日は目的地があって、そこまで行くのにたまたま通った。
濃い色をした看板は、昼間だというのにそのグロテスクさを充分に発揮していた。
通りを少し進んで店も疎らになった頃、細い道を右へ曲がる。
そしてすぐの角を左。
そのまままっすぐ行くと目的地である家屋が見えてきた。

かぶき町の端のしがない駄菓子屋には、よく白髪の若い男が訪れるという。
最近知ったことだが、その男がどんな男かなんて一発で分かった。
自らの師である近藤、不服だが一応上司の土方を破った男、坂田銀時である。

案の定、目立つ白髪はそこにあった。
足は迷うことなくその男の傍まで進んでゆく。
あと二歩ほどでぶつかりそうな所まで近づくと、やっと気が付いてこちらを見た。

「こんにちは、奇遇ですねィ、旦那ァ。」
「あれ、大串君とこの。」
「沖田でさァ。」

実は、この男に名乗るのは今日が初めてだったりする。
何度か顔を見たことはあっても今までちゃんと会話をしたことは無かった。
俺は適当に菓子を選んで代金を店主のばあさんに渡した。
金漁に餌あげ忘れないようにねェ、なんて言って旦那はその場を去ろうとする。
しかし、そうは問屋が卸さない。今日はアンタに用があってここに来たんだ、逃がすわけにはいかない。

「あ、旦那ァ、これから暇ですかィ?」
「ぁあ?特に用はねェけど。」
「じゃあ、ちょっと付き合って下せェ。」

少し微笑むと旦那は怪訝そうな顔をしたが、少しだけだぞ、といって誘いに乗ってくれた。
願ったり叶ったりだ。

人込みを避け、空き地になっている場所へ旦那を連れて歩く。
目的地について、一体なんなんだと問う旦那を尻目に近くに放置されている土管から自分の刀を取り出した。
振り返ると、旦那のギョッとした顔が目に入った。

「お前なぁ……」
「あ、分かっちまいやしたかィ?」
「ゴリといい、大串君といい、君達ホント好きだねェ。」
「だって、ずるいじゃねェですかィ。」

俺だけ除け者にしやがって。
しかも、こんな強い人だ、俺だって一手し負うてもらいたい。
まるでガキのような言い訳に、旦那は大きくため息をついた。
はい、旦那。という声と共に、腰に下げていた得物を旦那に渡す。
条件反射のように手を伸ばし、旦那は宙に浮いた刀を取る。

「土方さんみたいに奇襲ばっかかけたくねェんで、正々堂々いきやしょうや。」
「正々堂々ねぇ。」

納得のいかない旦那を余所に、俺は剣を抜き構えた。
旦那もしぶしぶ剣を抜く。
ただ、構えることはしなかった。

「……いいですかィ?」
「どっからでも。」

いきやすぜっ、と言うか否か、旦那の懐に踏み込む。
右へ、左へ、感覚が導く方へ刃を向ける。
自分が一番動きやすい流れに持っていった。
しかし、暖簾に腕押しというか、まるで柳の枝のようにひらりひらりとかわされる。
あ、やべ、ちょっとムカつく。
頭に血が上り、動きにも力が入り始めた。
これはまずい。
髪をかすり、銀の髪だけ切った。
それでも刀は身を裂く感覚を伝えない。
足を踏み込んで切り込むが、つばで受け止められる。
がちがちと音を発て、互いの力が均等にかかっていることを確認した。

「……反撃、しねェんですかィ?」
「んー、どうしようね?」

身を一旦引き、また踏み込んで突く。
だが、残像だけを残し旦那の姿が視界から消えた。

『?っ、どこだっ!』
「こっち。」

声に気付いた時にはすでに遅かった。
首に向いた刃は背後から伸びている。

「……参りやした。」
「そ、気ィ済んだ?」
「おかげさまで。」

あー、負けちまった……結構本気でやったのになぁ。
刀を鞘にしまうと、視界からもう一つの刃も消えた。
振り返ると、旦那の頬からは血が流れていた。

「旦那、血がっ……」
「んあ?あー大丈夫だから。」
「でも……」

こっちは掠り傷一つ負ってないのに。
ハンカチさえ持っていない俺は絆創膏なんて持ってるわけもなく、しょうがないので首元のスカーフを解いて頬の血をぬぐった。
少し傷口を触ると旦那は一瞬顔をしかめた。

「すいやせん。」
「いいって、分かってたから。」

そう言って旦那はやわらかく笑った。
『………あれ………?』
旦那の笑顔を見た瞬間、ドクリ、と音が聞こえた。
それは確かに心臓から聞こえて、その後もドクドクと音が止まない。
一体なんだって言うんだ。

「オイ、どうした?」
「へ…あ、あぁ、負けちまったなァって……。」

どうやら少しの間固まってたらしい。
適当に誤魔化して、今のことは流してしまう。
じゃあ、帰るわ。と旦那は身を翻していってしまいそうになった。

「ぁ、旦那ァ!!」
「なに?まだなんかあるの?」

勢いで呼び止めてしまって、口ごもってしまう。
とにかく、何か言わないと。

「またっ、会えますかィ?」

何言ってるんだ俺。
らしくもない事を口走って頭が混乱した。
旦那はボリボリと頭を掻き、口を開いた。

「パフェ奢ってくれるならいいよ。」

じゃーな、そう言い残して旦那は行ってしまった。

また、会える……んだ。
胸の早鐘はなかなか収まらなくて、その場にしゃがみこんだ。
早く収まれと思うほど、音は大きく聞こえて仕方がない。
手に握ったスカーフには茶色気を帯びた赤が花を咲かしている。
決して綺麗な色ではないが、何故か嬉しくなってしまう辺り、頭がどうにかしてしまったとしか言いようがないだろう。
また手合わせしてもらいたい、今度は負かしてやると心に決め、二本の刀を手に屯所へ帰った。

スカーフの赤は誰にも見せてやるものかとひそかに思いながら。



追記(4/5)
誤字直しました。大変失礼しました。
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