2012/3/2

クレンペラーから垣間見るハイリゲンシュタットの遺書  指揮者


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Toshiba EMI EAC-40055 LP


第2番の交響曲である。この曲は、ベートーヴェンが耳が聴こえなくなり「ハイリゲンシュタットの遺書」を書いた時期に作曲されたものなのだが、曲想は、其れとは裏腹に希望に満ちており、聴いていると何とも清々しい思いがする。青春の響きとも言いたい位だが、どんな曲でも作品を厳しく突き放し客観的に真実を突き詰めるクレンペラーなれば、どの様な演奏をするか興味深い処だ!楽団は、フィルハーモニア管弦楽団、収録は、1957年にキングズウェイ・ホールで行われた一連のものである。早速、演奏の感想に触れるが、冒頭和音の響きは厳しく禁欲的ないつもの巨匠の姿がある。だから壮大さよりは譜面上の音を在るがままに表す。それは第1主題のアレグロ部分とて同様で余計な装飾を感じない純度の高い音楽が目の前に展開される。それにしてもフィルハーモニア管弦楽団は優秀だ!巨匠の下で真摯に音楽に喰らいつく姿勢と絶妙のアンサンブルが、それに応えている。いざと言う時のテインパニーの打ち込みも壮絶で、聴いているとぶっ飛ばされる思いがする。巨匠の特色である狂気性も勿論兼ね備えているので決して一筋縄では済まない第1楽章だった。第2楽章も基本は同じで誠に純度が高い!曲想自体は甘美なものだが感傷的には絶対ならずに陶酔する事を拒んでいる様に聴こえる。是ほど孤高なラルゲットもそう無かろう!後半楽章は、この作品が発表された当時は、前衛音楽だった事を思い出させる演奏で、作品の欠点すらも暴く厳しさがある。複雑にリズムが交差する楽章だが温和な処が1つも無い!常に響きが厳格だが音圧的な迫力よりも造型面の確かさで圧倒される。終楽章も勢いのみに任せる事無くインテンポを徹底する事で、やはり譜面上の音のみで真剣勝負をしている。それにしても内部から青い炎が燃え立つ硬質な響きには凄い緊張を感じ作品の本質を見つめ直すには是ほど絶好の演奏は無いと思う!テンポは遅いが、不思議と停滞感は無い!余白には、序曲が2曲入っている。最初は「コリオラン」だが、是も気品に満ちた厳格な演奏である事には変わりなく冷淡で純度も高い!「プロメトイスの創造物」序曲もある。冒頭から重量級だが、やはり響きは濁らない!導入部のアダージョ部分も独特の緊張感で束縛する。主部のアレグロも決して突進しないが、中間部の木管は美しく草原で野花を見つけた様な風情がある。聴き終わって改めて巨匠の偉大さに気が付いた一枚である。

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