2015/7/8

アルゲリッチのショパン  器楽曲


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Polydor Japan MG 2491 LP

マルタ・アルゲリッチと言えば、現在では大分県別府市とは特につながりが深く、1994年に別府ビーコンプラザ・フィルハーモニアホール名誉音楽監督に就任したり、1996年より別府アルゲリッチ音楽祭(1998年第1回開催)の総監督を務め、2007年には別府アルゲリッチ音楽祭の主催団体であるアルゲリッチ芸術振興財団(Argerich Arts Foundation)の総裁に就任している程の親日家のピアニストだが、妙にサバサバした性格の為か色々とあるが好感のあるピアニストだ。そんな事もあって日本では見る機会もその演奏を聴く機会の多い人だが、1998年以降は別府アルゲリッチ音楽祭の為、毎年来日しているのだから当たり前だろう?彼女はアルゼンチン、ブエノスアイレス出身だが、若き日は、独特のエキゾチックな魅力があり、このジャケットを見ても惹かれるものがある。さて彼女の来日は1969年だが、残念ながら当時に夫婦関係にあった指揮者であるシャルル・デュトアとその時に演奏会があったのだが、夫婦喧嘩の上に帰国してしまい、それを悪いと思ったのか、翌年の1970年にようやく日本の聴衆に実力を披露する事になった。なのでいい御歳になっても御転婆の印象が強いが1941年生まれなので、やはりもうそれなりなのである。敢えて歳は書かない。さて此処で紹介するレコードはショパンの「ピアノ・ソナタ第2番 変ロ長調op.35 」、即ちあの「葬送行進曲」が第3楽章にあるものだが、此処は1965年のショパン国際ピアノコンクールで優勝し、最優秀マズルカ演奏者に贈られるポーランド放送局賞(マズルカ賞)も受賞した彼女ならではの面目を潰さない演奏が聴ける。第1楽章の叙情的な躍動感と言おうか沸々と登り詰める主題には「はっ」とするものがあるが、とても技巧的なのに情熱が迸る真摯に作品に向き合う姿勢には感動するものがあり、誠に息を吐かせない緊迫感が素敵だ。よく金縛りに会うなんて表現があるが、それがこの楽章の演奏にあるなんて感想は言い過ぎか?スケルツォも、その流れだが目の前で炸裂する花火のような音は目に見える程だ。だが弱音部も見通しが良いので譜面の裏にあるものも表現されているかのようだ。さて例の葬送行進曲は敢えて淡々と弾いているのか、ひしひしとその主題が迫って来る。強い表現ではないが、それで充分だ。それにしても彼女はまるで息をするようにショパンを弾く。プレストは羅列する音型の中から彼女の技巧を聞くべき演奏だが、これ程に正確に主題を弾き分けながらも人間的で瑞々しいのは、やはりこの人ならではだろうか?次はB面の「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズop.22」だが、まるで夢の中で、この曲を聴いている心地のする演奏で音が風に吹かれて音楽が漂う感じがなんとも良い。それは揺らぎながら時に迫り、通り過ぎて行く。午後のまどろみの中で聴くには最高の演奏だ。あまりにも気持ちが良過ぎて寝てしまいそうだ。だがポロネーズの部分は目の前で美少女がバレエでも踊っているような趣きもあり、なんだか余計な感想も述べるべきでもないかも?と思わせる。だがセンチメンタルな面も心の揺らぎを感じるような処もあり、一筋縄ではない。もちろん作品の持つ美観も充分表現されている。続く「スケルツォ第2番変ロ長調op.31」は、冒頭から衝動的だが、交差する感情は寧ろ抑制されており、そのバランス感覚を聴くべき演奏。これも技巧を技巧として聴かせずにサラリと弾いているのが見事だ。尚この録音は、1974年にドイツはミュンヘンのスタジオで行なわれたとの事だ。

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