写真は昭和50年代頃の、福島県双葉郡浪江町に有る「請戸港」のものです。この請戸港も今度の東北太平洋沖地震(3月11日午後)では、地震と津波の襲来で壊滅的な被害を受けたようです。更には福島第一原発の直ぐ隣町で、避難地域に入っているから、現在は人影も無く「人でなし」の地域になったのです。原発事故の恐さは、人間の住めない土地の現出に有るのです。電力が足りないからと言って、通産省の官僚達は現在停止中の原発を稼動させたいらしいが、地元や周辺市町村は金に釣られてOKを出せば、事故は必ず起きて泣きを見るだろう。賠償金等は当てには出来ません。ミスが多い人間の仕事などには、どの様に言え繕っても「絶対安全」等は有りません。もしも安全だと言うならば、彼等が原発周辺に住めば良いだろう。福島原発の過酷事故を逸早く知った東電社員や原子力.保安院とかNHK等は、一目散に避難したのです。
安全だと騒ぐ連中が、安全でない事を一番良く知っているだろう。
不思議に思うのだが、「大飯原発」とか「美浜原発」及び「敦賀原発」等で過酷事故が起きれば、風向きや気象条件等によっては、京都府とか大阪府等の大都市圏が汚染され「人でなし」の地域に成ってしまうだろう。例えば、
京都に住む文化人とやらに、原発反対運動が起きないのが不思議です。「原発の安全神話」等は意図的につくられたもので、信用出来ない事は、フクシマの惨状を知ればわかるだろう。ナニか書こうとすれば、直に福島原発に触れるのだが、原発事故と言うのはそれ程に恐いもので、全てが「無の世界」になってしまうのです。
さて浪江町の請戸港は、周辺の漁民が集まった比較的大きな漁港で賑わっていたのです。その大きな理由は、手漕ぎとか帆走を利用した小さな漁船から、機械船(焼玉エンジン)に変わってしまい、船が大型化し岸壁が必要になったからだと言う。それは既に戦前から始まっていたようですが、戦後には決定的になったようです。請戸港と言うのは千石船の寄港地としても知られるから、往古から港湾には適した場所で有った様です。但し、千石船時代は水深も浅く(4尺程度)岩礁等も多かったから、本格的な寄港地としては発展出来なかった様です。港湾として適当な岸壁の有る場所と言うのは、
地球が活動している証拠で有って、その様な場所は地震と津波で大きな被害を受けるようです。平安時代に起きた貞観地震では、請戸港から内陸部まで奥深く津波が押し寄せたと言う。この様な地域に原発をつくる等は、正気の沙汰では無かろう。
往古から港湾として栄えた請戸港には、ナント後南朝の「
信雅王」が上陸し、浪江町の内陸部「大堀の里」に御所を開いたと言う。請戸港と言うのは現双葉郡になるのだが、旧は標葉郡(シネハ)と言われ海東平氏岩城氏の枝族「標葉氏」が分封してたのです。標葉氏は南朝方として活躍した一族で、北隣の北朝方の相馬氏とはナゼか犬猿の仲で有ったのです。互いに干戈を交えた事は「相馬文書」等で確認する事が出来ます。つまり標葉氏は南朝方の有力なシンパであったのです。応仁の乱が終った頃になると南朝の「信雅王」は吉野の里を棄て、母方の甲州小石和(コイサワ)の観音寺に潜んだのです。この小石和と言うのは、南朝方の武田信広の領地で有ったのですが、武田信広の本家は北朝方で有ったから、やがては遠慮とか経済的に苦しいので、標葉氏を頼って来たと言う。
当時の南朝に味方するものは相馬氏の北隣の伊達氏とか、標葉氏の西隣の田村氏が居たからナニかと心強いものが有ったのだろう。恐らく相馬氏との対抗上標葉氏が積極的に招いたかも知れません。相馬氏が北朝方に成ったのは、伊達氏に対抗する為だと言う。
世の中は甘いものでは無く、やがては標葉氏と相馬氏は干戈を交えたのです。食うか食われるかの戦国時代の到来です。結果は標葉氏の家臣に裏切り者が出て相馬氏が勝利したのです。これより後は標葉領は相馬氏の手に帰したのです。標葉氏の中には最後まで「信雅王」に味方した者がいて、それは「
小丸氏」だと言う。小丸と言うのは、双葉郡の山中に見える地名だから、そこは小丸氏の本拠地で「信雅王」を匿うには適していたかもしれません。
小丸(オマル)氏と言うのは、猪股金平六藤範綱を先として(奥相誌)、範綱の子孫が豆州三島に住み、後孫の猪股能登守が乱を避けて奥州標葉郡の大堀に住んだと言う。後には小丸の姓を名乗り、標葉氏に属し標葉氏六族の臣(
東奥標葉記)となった様です。この小丸氏の尽力で「信雅王」は相馬氏に敗れた後も、阿武隈山中を西に逃れ「葛尾村」まで来たそうです。更に逃れれば、南朝に贔屓する田村氏の領ですが、ここで力が付きて既に抵抗の気力も無くし、最終地の尾張で生涯をおいたそうです。
現在の双葉郡浪江町小丸の地域とか葛尾村等は、福島原発の放射能汚染で困っているのです。困ると言うよりは、人の住めない「人でなし」の国になってしまうのです。
玄海原発の町長さんは、原発の再稼動OKを出す気らしいが、一個人の意思で原発を稼動してはならないだろう。事故が起きてしまいば、一個人の町長さんの力では、とても及ぶものでは無いのです。頭を冷やしよくよく考えて原発はNOに決まっています。

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