1、霞ヶ浦湖族「山崎謙著」新人物往来社刊 昭和47年版
2、平将門正史「山崎謙著」三一書房刊 1975年版
3、平将門「山崎謙著」三省堂刊 昭和46年刊
上の三冊はいずれも山崎謙氏の将門三部作と言うべきもので、発想の奇抜さから見れば文句なく面白い読み物で、読者は読み終えた後でなんとなく納得されたかも知れない。
山崎謙氏は1903年に千葉県に生まれ早稲田大学哲学科を卒業している。いわゆるレーニン主義者で有って弁舌さわやかで論戦が得意で有った。反論すればこちらは必ず敗れる事間違え無いだろう。(これは氏の生前を知る友人からお聞きした話で有る。)
さて上記三部作は何れも力作なのだが、特に霞ヶ浦湖族(副代は古代東国のゲリラたち)の着想は斬新なもので、これを展開延長させた後追いの、研究書等も出ているのです。古代社会の東国で海や河川を交通に利用したと力説した研究書は山崎謙氏が始めてで有ろうかと思われる。
将門が活躍した時代の東国は、現在からは考えられ無い河川や湖沼が有って、後には河川の改修や湖沼の干拓が有って現在は消滅したのだが、これらをむすびつけていたのは舟で有ったのです。霞ヶ浦を本拠とした湖族等も現実には存在したかも知れないのです。将門達もこれら湖族達と連絡を持ち陸上では騎馬軍団で往来し、水上では舟を利用して自由自在に動きまわって交易等したかも知れないのです。
いわゆる唯物論者は発想が自由で論戦にも強く、また良く勉強もしている様です。私等も彼の主張する水上や海上生活者には賛同していて、江戸湾を本拠とした一族と将門とは、何らかの関係が有ったと言う伝承には肩をもっている。
注
氏には「歴史とはなにか」「弁証法入門」「人間論」等の著作が有ります。

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