椎名高志『MISTERジパング』(小学館)第2巻は蜂須賀小六とのエピソード「蜂須賀村の決闘」の続きである。タイトルが映画作品のタイトルを連想させる点は『ゴーストスイーパー美神極楽大作戦』に重なる。因みに第1話は「天下を狙え」であった。
織田信長と蜂須賀小六の対立を日吉の知恵で回避しようという展開であるが、無理を感じた。信長は小六と全面対決するつもりはなく、実行者を差し出せば撤収すると考えているが、実行者が小六本人でなかったとしても、無法に乱暴を働いた訳ではない人物を差し出す理不尽を小六が受け入れることはないだろう。信長の考えでは全面対決に至るだろう。
蜂須賀村に圧力をかける織田方が暴走族風である点も信長の浅慮を印象付ける。うつけ者や傾き者を昭和のヤンキーや暴走族に重ねることは安直である。たとえば『花の慶次』で描かれた本物の傾き者はヤンキー暴走族のような自称傾き者を潰す存在であった。

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