旧陸軍被服支廠倉庫が解体?

2009/7/12 | 投稿者: らっち

 ちょっと気になるニュースが入ってきました。
 広島県が、財政難を理由に、旧陸軍被服支廠倉庫を解体する方針を決めた、というものです。(読売新聞関連記事
 まずは、旧陸軍被服支廠倉庫の写真から。これ、レンガ造だとばかり思っていたのに、実は鉄筋コンクリート造なのだそうですね。被爆建物云々の前に、建築として、見ごたえある建築物です。

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 さてさて、解体の方針が出たらしいこの建物。新聞報道を鵜呑みにするなら、行政マンの立場から言わせていただくと、「解体やむなし」と判断せざるを得ない面も確かにありますね。
 年間の維持管理費が40万〜400万円(ちょっと額の幅が大きすぎるのが気になりますが…)。改修には一棟あたり約30億円。
 建築的な観点はちょっと置いておき、こういった「利用されていない建築物」に対し、これだけの税金を投入してまで管理する必要があるのか? と聞かれると、行政マンの立場からすると、疑問視せざるを得ない面があります。
 そもそも、建築物は利用されてこそ価値がある。いくら建築的に価値があろうが、被爆建物であろうが、ただのオブジェでしかないならば、税金を莫大に投資して維持管理するのは難しい。(それでも、個人的には、年100万円程度ならば、許容できる範囲だと思いますが。やはり年間維持管理費40万〜400万円という数字の内容が気になります)
 「じゃあ、何らかの再利用を考えれば良いじゃん」という話になると思いますが、これがまた難しい。
 改修に一棟あたり約30億円かかるのを承知で、再利用を考えるなら、この建物にはそれだけの費用対効果が望まれることになります。30億円に見合う効果となると、都市観光機能として相当役立ってもらわないと困るわけで、宇品の郷土資料館のような利用方法では、県民の同意は得られないでしょう。この建物、アクセスも微妙ですし、どうすれば効果的な使い方が出来るのか。これは難しい問題です。

 要するに、「今後も維持管理費だけは定期的にかかってくる。でも、再利用しようと思ったらかなり費用がかかり、投資に見合うだけの効果が見られない」という状況にあるので、解体の方針が出たのだと思います。これは行政マンとしては、理解できる方針です。

 ただし…。やはり勿体無いですね。確かに今、維持管理費が定期的にかかり、今後の利用方針も出せない難しい状況にあるのですが、もし仮に、これを解体してしまうと、この建築のすべてが本当に失われてしまうことになるのです。

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 この外観のレンガも、国内最古級のRC造も、「軍都廣島」を背負ってきた歴史も、「被爆建物」という歴史も、すべて失われる訳です。
 やはり、出来れば何とか残したいですね。この建物を残すために、良い方法は何かないでしょうか…。
 どなたかが熱心な、「折り鶴ミュージアム」にでもしましょうかね…。

参考サイト
@arch-hiroshima旧陸軍被服支廠倉庫軍都としての景
AALL−A旧陸軍被服支廠倉庫、解体か




2018/1/25  22:39

投稿者:らっち

始めまして。
さて、「床に直接座って黙って読むことで、その同じ床で亡くなっていった人たちの気持ちを一人ひとりが想像するべき」と言うのは「なるほど」と思いました。確かに、あの建物でこそ出来ることだと思います。
まずは一棟先行して耐震補強して、そのような活用を図るべきかもしれませんね。

2018/1/25  20:05

投稿者:まる

初めまして。昨日広島県がこの建物の保存について、とりあえず劣化防止のみ行う方針を発表しましたね。
私は人が中に入れるよう耐震化もしてほしいと思っています。下記(まちづくりひろしま第30号)のところで述べているような活用策を願っているからです。ぜひ読んでみて下さい。


http://chugokuc.co.jp/resources/mailmag.html

2009/7/20  22:31

投稿者:らっち

場所が良ければ、そういう話にもなるのでしょうけどね…。
せめて港の近くにでもあればよかったのに…。

2009/7/19  23:23

投稿者:Hiroshimano

横浜の赤レンガ倉庫みたいに再生できないのでしょうかね〜。何だかもったいないですね。

2009/7/18  23:12

投稿者:らっち

>うてきなさん

初めまして、じゃないですよ。
以前、この記事に書き込みいただいているじゃないですか。
http://red.ap.teacup.com/hiroshimusica/300.html
これ以降、うてきなさんのブログは定期的に拝見させていただいています。
さて、旧陸軍被服支廠倉庫について。
維持費が莫大かどうか、というのは個々の価値観によるところがあるので、何ともいえない部分もありますね。
ただ、確かに、これだけのものがこれまでよく残っていたな、とは思います。
一部保存、で良いと思うのですけどね…。

>obaabaさん

興味深いコメントありがとうございます。

>手間ひまかけて作ったものは,多くの場合、オリジナルになりますし、消費を目的に作られるものは(コストの削減もあって)大量生産されざる終えず,ものの個性というものに余り期待は出来ないと思います。

と言う部分、非常に興味深く読まさせていただきました。
確かにその通りで、しかも年々、「消費が目的」のものがどんどん増えていっているように思います。
まあ、このことについても、いつかブログでじっくり取り上げたいですね…。

2009/7/18  17:25

投稿者:うてきな

はじめまして、私も拙ブログで紹介し、写真も残してきました。正直これだけのものが今も尚残っていること自体奇跡かもしれません。維持費が莫大なので解体はやむをえないと思います。形あるうちに多くの記録を残されることを願わずにはいられません。

http://tottemoutekinapuripa.cocolog-nifty.com/

2009/7/18  7:55

投稿者:obaaba

らっちさんのブログを、私事、そして、私的感情のはけ口みたいに使ってしまって済みません。アレは,あくまで個人的な気持ちなんで,気にしないで下さい。
縁もゆかりもないらっちさんが、「理解できる方針です」と言いながらも「出来ればなんとか残したいですね」と書いて下さったこと、嬉しかったです。
そういうことを言い続けて下さる方が,少数でもいらっしゃれば、若い世代の中にも「ああ、あの建物」と思う方もでてこられるかもしれませんし、、、

らっちさんも子供さんがおられましたよね。私は,三人の子供を取り巻く環境の中でずいぶんな数の保護者、そして、子供達と関わって来ました。その中で感じたのは,ある年代を境に大きなギャップが存在する、ということです。もちろん、家庭環境などの違いもありますが、一般的に見て,ある世代より上は「手間ひまかけてものを作る」傾向が強く、それ以下の世代では「ものは作るものではなく、消費するもの」という感覚が強い、ということです。手間ひまかけて作ったものは,多くの場合、オリジナルになりますし、消費を目的に作られるものは(コストの削減もあって)大量生産されざる終えず,ものの個性というものに余り期待は出来ないと思います。そういう風に大量生産、大量消費の環境で育って来た人達はものの差異自体には余り注意が行かないのかな,と思うことがしばしばあります。逆に,そういう時代が続いて来て,『にたような沢山のもの」に飽きて来たもう一つ二つ若い世代の方が,『ものの個性」に興味が向いたりしないかな,とささやかな期待を持って眺めているところです。

http://ameblo.jp/obaaba/

2009/7/15  22:35

投稿者:らっち

なるほど。
ただまあ、それを言い出すと、このブログの意味もなくなってくるような気もしますが(笑)。
それにしても、この建物、立派な建物だと思いますね。
なんで現代にはこんな風格ある建物が建たないのでしょうか…。

2009/7/15  16:35

投稿者:obaaba

らっちさん、私も,残してほしいのは山々なんです。私の親族の家はラッチさんが映しておられる反対側にありました。そこも年寄りが死んだ後,しばらくして若い親族が家を建替えてしまい,全く見る影もありません。その親族は血の濃さで言ったら,はるかにワタシよりは近親にあたりますが、生きている自分と家族の生活の方が大切なんだなあと思いました。しかし,私にはそれを攻めることは出来ないのです。彼らもこの現代を生き延びようとしているだけなのだし、、、、。こうやって、思い出は削り取られてゆき,ワタシは年老いてゆきます。残したいと思う気概ある方が声をあげられることがあれば,いいと思います。しかし、そうでないからと言ってワタシは世の流れを恨むつもりはありません。私自身の思い出は,私が生きている限り,ワタシとともにありますから。

http://ameblo.jp/obaaba/

2009/7/13  21:24

投稿者:らっち

>terrさん。
初めまして(ですよね?)。
はい。詳細が分かれば、是非教えていただければと思います。よろしくお願いします。

>obaabaさん
言われていることは分かります。
ただ、失ったものは二度と取り返せません。
例えるなら、自分がお金に困っていても、自分の土地や家を売り出すのはかなり勇気が要ります。家を売れば、一時的に金銭問題は解決しますが、2度とその家は手に入りませんし、今度お金に困った時に「家を売る」という選択肢もなくなってしまいます。
難しい問題ではありますが…。

今回の件に関しては、「一部保存」というのが現実的な気がします。


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