「東野圭吾」の短篇集
『黒笑小説』を読みました。
『怪笑小説』、
『毒笑小説』に続く、
「東野圭吾」によるちょっと毒のある短篇集です。
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作家の
「寒川」は、文学賞の選考結果を編集者と待っていた。
「賞をもらうために小説を書いているわけじゃない」と格好をつけながら、内心は賞が欲しくて欲しくてたまらない。
一方、編集者は
「受賞を信じている」と熱弁しながら、心の中で無理だなとつぶやく。
そして遂に電話が鳴って―。
文学賞をめぐる人間模様を皮肉たっぷりに描いた
『もうひとつの助走』をはじめ、黒い笑いに満ちた傑作が満載の短編集。
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収録されているのは、以下の13篇。
■もうひとつの助走
■線香花火
■過去の人
■選考会
■巨乳妄想症候群
■インポグラ
■みえすぎ
■モテモテ・スプレー
■シンデレラ白夜行
■ストーカー入門
■臨界家族
■笑わない男
■奇跡の一枚
これで●笑小説3部作を全て読破です。
短篇なので、印象に残った作品とそうでない作品と混在しているものの、作品のレベルは高く愉しく読めました。
『もうひとつの助走』、
『線香花火』、
『過去の人』、
『選考会』の4作品は文壇、出版界を舞台にした物語で、共通の登場人物が出てくるので連作っぽい感じでしたね。
新人賞受賞作家
「熱海」の勘違いは笑えるけど、孤独で哀しい作家の立場も感じさせる作品です。
作家の立場を笑いで表現してありますが、その裏に隠された作家のツライ立場についても考えさせられましたね。
この中では、選考しているつもりの作家が、実は編集者達に評価されているという
『選考会』がイチバン好みです。
『巨乳妄想症候群』と
『インポグラ』は下ネタ系ですが、イヤラシイだけに終わらず男の弱さを巧く表現してある作品でしたね。
男って本当に脆い生き物なんだと実感。
『みえすぎ』のように見えちゃうのは不幸かもなぁ。
キレイなモノやイイ香りのでも有害なものってたくさんあるんですよね。
逆にそういうモノの方が有害なのかも。
見たいけど… 見たくないなぁ。
『臨界家族』に出てくる人気キャラクター
「スーパープリンセス」のグッズ。
ヒーロー物のキャラクターグッズ、我が家ではようやく卒業だと思うけど、これまではずっとメーカの戦略にはまってましたからねぇ。
感情移入しながら読んでしまいました。
子どもに我慢することを覚えさせたいので、直ぐにオモチャを買ってやることはないのですが、、、
そんな我が家は
『臨界家族』にぴったりだったかも。
短篇は短篇で愉しいのですが、、、
久しぶりに長篇を読みたくなりました。

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