ずーっと以前に購入した
「小泉吉宏」の絵本
『戦争で死んだ兵士のこと』を、息子が私の書棚から取り出して読んでいました。
再読してみたくなり、久々に読みました。
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今は、のどかな森のほとり、ひとりの兵士が死んでいる。
1時間前、兵士は生きていて闘っていた。
2時間前、兵士はひとり道に迷っていた。
…10日前、恋人にプロポーズをし将来を誓い合った。
バスケットボールが好きで高校時代は毎日していた。
8歳の時、近所の犬の顔に落書きをしておこられた。
この絵本は戦争の絵本でありながら、戦争を描いたものではない。
今は死んでいるひとりの兵士の人生を誕生までさかのぼっていくのであるが、その人生はあまりにも普通で、だからこそ胸に響く。
ニュースでの戦死者は数で語られることが多く、その映像も現実味のないもの。
しかし、そこで死んだ兵士のみならず一般の民衆にも、それぞれ普通で当たり前の幸せがあったのだということに気付かされる。
シンプルな絵に簡潔な文章。
淡々と描かれるそのページの余白に、何かを考えずにはいられない。
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いやぁ… 再読なのに目頭が熱くなりました。
普通の人が普通に暮らしていたのに、戦争が人生を変えてしまう… 淡々と描いてあるのに、それが逆に心に響きますね。
戦争が起きると、大きな話題ばかりに目をさらわれてしまいますが、、、
実際は一人ひとりの人間が生死を賭けて闘っているんですよねぇ。
わかってはいるけど、知らず知らずのうちに目を背けていること… 現実から目を背けていることに気付かされる一冊です。

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