「『なぜ、エヴァンスに頼まなかったのか?』 アガサ・クリスティ 」
■読書
「アガサ・クリスティ」の長篇ミステリー
『なぜ、エヴァンスに頼まなかったのか?(原題:Why Didn't They Ask Evans?)』を読みました。
『終りなき夜に生れつく』に続き
「アガサ・クリスティ」作品です。
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牧師の息子
「ボビイ」は、ゴルフの最中に崖下に転落した瀕死の男を発見した。
男はわずかに意識を取り戻すと、
「ボビイ」に一言だけ告げて、息を引き取った。
「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」
―幼なじみのお転婆娘
「フランキー」とともに謎の言葉の意味を追う
「ボビイ」。
若い男女のユーモアあふれる縦横無尽の大活躍。
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『終りなき夜に生れつく』に続きノン・シリーズモノです、、、
牧師の四男坊
「ボビイ」と、幼馴染で伯爵令嬢
「フランキー」のコンビが素人探偵として活躍するミステリ、冒険、ラヴロマンスの3要素がミックスされた作品… 若い男女ペアの冒険推理譚がいきいきと描かれているという点では、おしどり探偵コンビ
「トミー」と
「タペンス」シリーズに近いイメージの作品でしたね。
二人が事件に関わる発端となったのは、
「ボビイ」がゴルフのプレー中に発見した、崖下に転落した謎の男性、、、
その男性は
「ボビイ」に、
「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」というダイイングメッセージを残して息を引き取る、
そして、
「ボビイ」は、その男性のポケットには人の心を惹きつけるような女性の写真が入っていたことに気付く、
そこへ偶然
「バッシントン・フレンチ」と名乗る男が現れ、夜の祈祷に遅れそうな
「ボビイ」に代わって死体の見張りを引き受けてくれる、
(しかし、警察が確認した時には
「ボビイ」が見た写真は消えていた)
その後、男性のポケットに残されていた別な写真から妹夫婦が判明して事故として事件は片付けられたが、
「ボビイ」が遺族の
「ケイマン夫妻」にダイイングメッセージを伝えた後、
「ボビイ」はビールに盛られたモルヒネにより危うく毒殺されかける… 元々、この事故は殺人ではないかと憶測していた
「フランキー」は、
「ボビイ」とともに事件の真相を探り始める。
いやぁ… 序盤からぐいぐいっと物語に引き込まれる感じの展開でしたね。
その後、、、
「フランキー」が、事件の鍵を握ると思われる
「バッシントン・フレンチ」邸に交通事故を装って潜入したり、
「ボビイ」が、
「フランキー」の情報からの疑惑の人物として浮上した、精神病院を経営する医師
「ニコルソン」が麻薬患者を隔離・治療している邸宅に侵入したり、
二人が真犯人に捉えられたり… 意外な人物に助けられたりと、
それぞれが手掛かりを拾い集め、犯人と知恵比べをしながら、徐々に真相に近づきます… その過程を二人に感情移入しながら愉しめた作品でしたね。
そして、二人が探り当てた真相、、、
「エヴァンズ」は身近にいた意外な人物(結婚して苗字が変わっていたとは!?灯台下暗しですね…)で、真犯人たちも意外な二人(男女)でしたね… 特に女性の犯人は、守ってあげるなきゃいけない人物(被害者)だと思わせる伏線が張ってあり、まんまと騙されました。
ダイイングメッセージは、
「ジョン・サヴィッジは、遺言書の証人を、なぜ、本人のことを良く知らない料理人と庭師に頼み、なぜ、本人のことを良く知っているメイドのエヴァンズには頼まなかったのか?」
というのが正確な感じかな。
ここまで判明していれば、真相に近づくのが早かったんですけどね… まっ、それじゃあ面白くないかな。
「ボビイ」と
「フランキー」の二人の前向きな行動力と、明るい将来を予感させるハッピーエンドが印象的な作品でした。
以下、主な登場人物です。
「ロバート(ボビイ)・ジョーンズ」
元海軍軍人。ジョーンズ牧師の四男
「トーマス・ジョーンズ」
ボビイの父。マーチボルトの牧師
「フランシス(フランキー)・ダーウェント」
伯爵令嬢。ボビイ・ジョーンズの幼なじみ
「マーチントン卿」
伯爵。ダーウェント嬢の父
「ヘンリイ・バッシントン・フレンチ」
地方名家の当主。治安判事
「シルヴィア・バッシントン・フレンチ」
ヘンリイの妻。アメリカ人
「ロジャー・バッシントン・フレンチ」
ヘンリイの弟
「アレックス・プリチャード」
死んだ男
「アメリヤ・ケイマン」
プリチャードの妹
「ジョージ・アーバスノット」
医者。フランキーの友人
「ジャスパー・ニコルソン」
医学博士。カナダ人
「モイラ・ニコルソン」
ジャスパーの妻
「アラン・カーステアーズ」
博物学者。狩猟家。カナダ人
「ジョン・サヴィッジ」
億万長者
「フレデリック・スプラッゲ」
マーチントン卿の弁護士
「ロバーツ夫人」
ジョーンズ家の家政婦

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