「横関大」のミステリ作品
『グッバイ・ヒーロー』を読みました。
『ピエロがいる街』に続き
「横関大」作品です。
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ピザを届けるのが俺の仕事だ。
それがたとえ、拳銃を持った男が立て籠もっている場所でも。
立て籠もり現場にピザを届けることになったバンドのリーダー
「伊庭亮太」。
だがそこにいたのは、腰の低い
「おっさん」だった。
託されたメッセージ。
奇しくも今夜は大切なライブの日。
だけど困っている人がいたら助けなければならない。
「おっさん」と
「亮太」の長い一日が始まる。
次々くり出される意外な展開が止まらない!
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意外な展開が愉しめるテンポの良い巻き込まれ型のミステリ作品でした… 非現実的な展開と、エンディングにやや物足りなさを感じましたが充分愉しめるレベル、、、
困っている人がいたら助けずにはいられない… 主人公
「伊庭亮太」の人の良さが魅力と、地味で目立たないけど意外な活躍をみせる
「おっさん」の二人が印象的な作品でした。
バンド活動をしながら、宅配ピザのアルバイトをしている
「伊庭亮太」は、困っている人がいると放っておけない性分で、配達先では喧嘩の仲裁から水道の修理まで、色んなことに巻き込まれてしまう… そんなある日、指名の配達の仕事がありピザを届けにいくと、警察と名乗る男たちに拘束され
「立てこもり事件がおきているスナックにピザを配達して欲しい」との要請を受ける、、、
「亮太」が指名された理由は、ピザ屋のホームページに顔写真が掲載されており、警察官がピザ屋に扮装することを防ぐためだった…
「亮太」が、そのスナックにピザを届けると、受け取ったのは、ごく普通のサラリーマン風の
「おっさん」だった。
これをきっかけに
「亮太」は犯罪に巻き込まれ、しかもひとつの事件が終わっても次から次へと事件に巻き込まれていく… そして、立てこもり事件の人質だった
「おっさん」の意外な正体が徐々に明らかになり、
「亮太」もまた、持ち前の度胸と機転で次々と難局をのりこえていくという、スリル満点、スピード感たっぷりの展開です。
「おっさん」は一見、うだつのあがらず、目立たないサラリーマン風の小太り男なんですが、実は金さえ払ってもらえば何でも運ぶ
「運び屋ジロー」という裏の顔をもっており、しかも、運び屋になるまでには辛い人生があったことが判明… 年下の
「亮太」に対しても常に敬語で、ほんとに普段は冴えないのですが、ひとたびことが起こればガラリと印象が変わる人物、、、
「亮太」は
「困っている人がいたら助けなければいけない。それが俺のルールなんだ」と言う父親譲りの性分で、仕事そっちのけで人助けをして、バンドの運命がかかった大切なライブの時間がせまっていても、
「おっさん」を放っておけず奔走してしまうんですよね… そして、
「亮太」と
「おっさん」の二人は友情に近い絆が感じられる関係にまでなっていきます。
しかし、
「おっさん」の正体と罪を知った
「亮太」は、
「おっさん」に自首を勧め、二人の居場所に警察を呼び寄せますが、間一髪のところで
「おっさん」は逃走… 大型スクーターとともに海に転落してしまいます、、、
ここで第一部が終了し、第二部は8年後からスタート… 以前に
「おっさん」に頼まれて
「亮太」がピザを届けた女の子
「遥香」の視点で物語が展開します。
「遥香」はそのときに
「亮太」にもらったバンドのCDを聴き、
「亮太」のバンド
「チキン・ランナウェイ」のファンになっていた… そして
「チキン・ランナウェイ」は押しも押されもしないメジャーバンドになっており、ライブ会場を訪れた
「遥香」が偶然
「おっさん」と出会いますが、その場で起きた事件に二人は巻き込まれていく、、、
「亮太」を守るため、二人の取った行動は… この後の展開は、何となく先が読めてしまい、もうひとひねり欲しかった感じでしたね。
でも、物語のテンポが良く、キャラクターに好感が持てて、事件は起こるけれど殺人はなくて、ちょっと泣ける感じで好感の持てる作品でした。

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